第87章 *懐刀インパクト*
ユウ『あ〜〜の〜〜?そろそろ説明してもらえませんか?何がどうして闇があんなに出てきたんです?』
目の前の甘い光景にイライラしながら言うと、ハッと我に返ったシルバーが"すまない"と謝り、事の発端を話し始めた
レイラたちが走って行った後、シルバーとの言い争いの末、暫く沈黙状態となっていた。幾分か落ち着いたセベクは、ふとリリアが魔力を失わない、マレウスが両親を失わずに生きれるこの夢の世界から醒める必要はないのではと言い出した
リリアと共にいられることはシルバーも望むことではあったが、それでも夢は夢だと諭すも、誰よりもマレウスやリリアの幸せを願うセベクは、頑なにその心を曲げず、結果その思いに引き寄せられ闇が現れたのだという
ユウ『つまり夢の中にいたいって駄々こねた結果、自分が飲み込まれたってことですか』
『...』
グリム『自業自得ってやつなんだゾ』
ため息を付きながら見下ろすグリムに、うんうんと頷きながらユウはセベクを起こすために、ぺしぺしと軽く肩を叩いた
ユウ『おーい起きろ〜。早く起きないと殴って起こすぞ〜』
セベク『っ、うっ..』
何回目かの呼びかけに意識が戻り、セベクは片手で頭を押さえながら上半身を起こした
セベク『うう..僕は..?』
グリム『夢の中にずっといたいって駄々こねて、闇にぐるぐる巻きにされてたんだゾ』
セベク『..そうか、僕は..』
シルバー『セベク。確かにお前の言う通り、このまま夢の中にいれば辛い想いをせずに済むだろう。でも..それでも、俺たちはこの夢から脱出しなくてはいけないんだ』
視線を合わせるように片膝をつくと、はっきりとした口調で諭すように続ける
シルバー『眠らされている学友たちの未来はどうなる。お前の帰りを待つ家族はどうなる!そして何より..たった一人、孤独に夢の世界を紡ぎ続けるマレウス様はどうなる!!』
セベク『..!!だが、リリア様はこの眠りから覚めれば..』
シルバー『そうだとしても。親父殿なら絶対に今のマレウス様を諌めるだろう』