第87章 *懐刀インパクト*
ユウ『レイラ〜〜っ!!どこ〜〜!?』
グリム『お〜い!返事するんだゾ〜!』
何度呼びかけても返事も気配もなく、2人にの脳裏に最悪な予感がよぎる
ユウ『あんまり遠くに行くと何もない夢の境目に行っちゃうかもしれないってのに..』
グリム『それに、ここには怖ぇ魔獣がウヨウヨいるんだゾ。早く見つけねぇとあいつが食われちまう!』
ユウ『レイラ〜〜っ!!!』
ガサガサ..
ユウ『!!レイラっ!?...あ°』
グルルルルっ!!!!
ビシッとその場で固まるユウの視線の先には、こちらを睨みつけ、唸りを上げて今にも襲いかかってきそうな魔獣が茂みから顔を出していた
ユウ『あ〜ははは..こ、こんばんは〜..』
グリム『呑気に挨拶してる場合じゃないんだゾ!は、は、早く逃げねーと..』
ユウ『分かってるけどここは目線を逸らさずに背を向けず、ジリジリと下がろう』
グリム『クマじゃねーんだゾ!』
グルルル...ガアアッ!!
牙をむき出しに唸る魔獣が地を蹴り上げ、二人に向かって駆け出した
ユウ『ぎぃぃぃやぁぁぁぁ!!!』
グリム『ふなぁぁぁぁ!!!』
ガウッ!?ガア.ア..ッ..
互いに抱き合い襲いくる痛みに耐えようと強く目を閉じる。しかし、魔獣の戸惑いの声が聞こえるだけで、痛みは何も感じなかった
恐る恐る目を開けてみると、魔獣は下から掬い上げるように持ち上げた闇の手によって、グッと逃さないように強く握られていた
ユウ『..へ?』
グリム『ふな?』
『..間に合った...大丈夫?』
魔獣の後ろからレイラがひょこっと顔を覗かせ、2人を心配そうに見つめていた
ユウ『レイラ!!』
『待って..この子が先ね』
魔獣の目の前まで回り込むと、優しく頬に手を当てて語りかける
『勝手にお家に入ってごめんね。でも、この人たちも私も、何もしないしすぐ出てくから、許して、ね?』