第87章 *懐刀インパクト*
『.......みんな』
ユウ『ん?』
シルバー『どうした?』
『ごめん..途中で手離しちゃって。私、何もできなかった』
シルバー『そんなことはない。レイラがあの魔法で掘削機を握り潰してくれたことが1番のダメージになったし、その時のヒビが最後に親父殿の攻撃を後押ししたんだ』
グリム『それに、あんなでけぇ岩降ってきたら、誰でもビビって集中なんて切れちまうんだゾ』
落ち込むレイラを励ますように、シルバーとグリムの手がポンポンと頭を優しく叩く
『..でも、私が離しちゃったせいでみんな飛ばされて..怪我させたし、足引っ張っちゃった』
ユウ『そこまで気にすることじゃ、』
セベク『いいや、全く持ってその通りだ』
見上げると腕を組みながら鋭い瞳で見下ろすセベクと目が合った
シルバー『セベク..』
セベク『貴様があの闇色の手を離さずに握り潰していれば、もっと早く片付いていた』
『...』
セベク『岩ごときに臆して集中を切らしたせいで、近衛兵の皆さんだけでなくリリア様にも迷惑が被った。後方に下がっていろと言われたのも、貴様が使い物にならないと判断されたからだ!』
ユウ『ちょっと、何言ってんの?リリア先輩はレイラのことを思ってこっちに下がらせたんでしょ』
セベク『それは役に立たなくなったこいつが邪魔だから下がらせるために、リリア様が気を遣ってくださったからだ!そのお気遣いさえもあの方のご負担になっているのだと分からないのか!?』
『..分かってる』
セベク『いいや、分かっていない!思えばいつもいつも貴様は、若様やリリア様のお優しさに甘えて不躾な態度を取り、あまつさえその程度の実力で若様の友人などと分不相応だと知れ!』
『...っ』
容赦なく責め立てる言葉がレイラの胸を締め付ける。だがレイラも反論はしなかった。自分の実力不足も、優しさに甘えていることも、自覚していたからだ