第87章 *懐刀インパクト*
セベク『くっ..!なんということだ。一目だけでも若様にお目にかかりたかったっ!』
シルバー『東の砦に書状を届けた後、親父殿たちは野ばら城に帰城するだろう』
セベク『はっ!ということは若様のお姿を拝見できる可能性が!?ならば、一刻も早く任務を終わらせねばなるまい!』
シルバー『ああ。今は体を休めて、明日に備えよう』
セベク『ふん!お前に言われずとも分かっている..時に、シルバー。お前、今日は一度も居眠りをしなかったな。普段は会話をしていようが鍛錬していようが、すぐに船を漕ぐくせに』
シルバー『それが..どうやら俺は、夢の中だとあの抗いがたい眠気に襲われることがないらしい』
セベク『はっ。夢の中の方がシャキッとしているなど笑わせる』
シルバー『お前の言う通りだ。現実でも常に眠気のない状態でいたいんだが』
ユウ『それって、慢性的に強い眠気があるってことですか?』
『授業中眠いのは、分かる。トレイン先生の授業、うとうとしちゃう。よくルチくんにツンツンされて起きるけど』
シルバー『ルチくん?』
『先生の猫さん。ルチウス』
シルバー『ああ、成る程。
そうか、3人は知らなかったな。俺は幼い頃から、ふとした瞬間に強い眠気に襲われることがある。だが、レイラの言う眠気とは少し性質が違うと思う』
『そうなの?』
シルバー『俺の場合、歩いていても、誰かと話している途中でも..剣の鍛錬をしている時でも、唐突に眠くなる時があるんだ』
グリム『えっ、剣の鍛錬の途中?夜通しゲームしてて寝不足だったとか?』
シルバー『いや、夜の睡眠は十分とっている。原因は、俺にもわからない。幼い頃から親父殿は、何度も俺をあちこちの魔法医術士に診せてくれたが..どこに行っても原因不明と匙を投げられてしまって..』
ユウ『(そういや僕も急に夢を見ることがあるな)』
『理由が分かって治るといいね』
シルバー『この居眠り癖が治れば、親父殿の憂いも一つ消えるだろう』