第87章 *懐刀インパクト*
リリア『飯炊きと荷物持ちくらいにはなるだろう。邪魔になったらその辺に放り出しゃいい。俺たちの責任じゃねえ。
それに、あの女(黒兎)が"銀の梟"の連中の手に渡るのは、お前も避けるべきだと分かってんだろ』
こそりと囁かれた言葉に、バウルはジッとレイラを睨みつけると、渋々といった様子で頷いた
バウル『...右大将殿が、そうおっしゃるのであれば』
『???』
知らない間に囁かれていた言葉に気づかず、何故睨まれているのか分からず、首を傾げるだけだった
リリア『俺は野ばら城のことが心配でたまらねぇんだ。さっさと仕事を終えて戻れるなら、妖精だろうと人間だろうと使えるものは何でも使うぜ』
ユウ『右大将程の地位の方が、城を長く空ける訳にはいかないですもんね』
『それに、残してきたお姫様..心配』
リリア『心配?俺がマレノア様を?あははは!』
『え、心配じゃないの?』
リリア『してねぇわけじゃねぇが、それは姫じゃねぇ。野ばら城自体と俺の命だよ!俺の不在中、姫の癇癪で城が全壊してた..なんてことは避けたいからな』
セベク『え?』
リリア『茨の国を治めているドラコニア一族は、夜の眷属の頂点と謳われるドラゴンの末裔だ。お前らの国の"お姫様"は皆で護るべき麗しの方かもしれねぇが..うちの姫は、俺たちが束になってかかっても歯が立たないほど強い』
ユウ『(リリア先輩ほどの人が歯が立たないって..なんか、さすがツノ太郎の身内って感じだな)』
リリア『その上お転婆で、喧嘩っ早くて、わがままで、癇癪持ちで..さらに、とんでもない性悪ときた。マレノア様はまさに、茨の国"最凶"の姫ってわけだ』
『すごい、カッコいい..』
リリア『はあ?カッコいいだと!?モタモタしてたら脳天に雷を落とされるか、口から吹く炎で丸焼きにされる。言っとくが、冗談じゃねーぞ。マジでやるんだ、あのお姫様』
『でも、みんなに守られてばかりのお姫様より、全然カッコいい。いいなぁ..』
リリア『..お前、あんなじゃじゃ馬姫に憧れんのか?趣味悪りぃな』
バウル『う、右大将殿!お言葉が過ぎます!』