第87章 *懐刀インパクト*
『(夜明けの、騎士..?)』
グリム『楽勝!?オレ様たち15人もいねえんだゾ』
セベク『馬鹿者!こちらには天下無双と名高い現役時代のリリア様がいらっしゃるのだぞ!敗北などありえん!』
シルバー『しっ..セベク、声を落とせ。セベク、グリム、ユウ、レイラ、俺の話を聞いてほしい。もう分かっていると思うが、これは学園で行われる戦闘訓練や決闘とは違う。
..俺たちは今、ダメージを受けてもその衝撃で眠りから覚醒することができない状態だ。夢の中とはいえ、深手を負えばどうなるか分からない』
ユウ『そうですね。ここでの怪我がそのまま現実の僕らの体に引き継がれる可能性もありますから』
シルバー『そうだ。だからユウとグリム、特にレイラは絶対に俺の側を離れるな。セベク、お前も..』
セベク『貴様に心配されるまでもない。貴様こそ、怖気づくなよ』
シルバー『..はぁ。くれぐれも、無茶はするな』
バウル『ぐぬぬ.."鉄の者"どもめ。我が物顔で天幕など張りよって..許しがたい』
リリア『ククッ、いいじゃねぇか。あれだけ準備万端なら、今日はすぐに寝床にありつけるぜ』
ユウ『え、それってまさか..』
『あそこが今日のお泊りするとこ?』
ひょこっとリリアの隣から顔を出して野営地を覗くと、その言葉にリリアはニヤリと笑って"そうだ"と応えた
リリア『でも邪魔な連中が彷徨いてんだよなぁ。このままじゃ俺達は、みんな仲良く野宿ってわけだ』
『..あの人達いない方がいい?邪魔?』
リリア『ああ、死ぬほど邪魔だな』
『じゃあ..追い出す。さっきの妖精さん達のためにも、あの人達が邪魔なら、みんな..追い出す』
ギラギラとまるで獲物を狙う肉食獣のような瞳に、リリアは胸の奥からゾワッと這い上がるような感覚がした。それが目の前の兎に対する畏れなのか、それとも興奮の震えなのかは分からなかったが、笑みを深めてポンとレイラの頭に手を置いた
リリア『良い顔するじゃねぇか。さあ、奴らをぶちのめして、あの野営地を丸ごといただくぞ。者ども、かかれ!』
リリアの号令に近衛兵たちは声を上げ、次々と我先に野営地へと侵攻して行った
リリア『テメーら、天幕は焼くんじゃねえぞ!野宿したくないならな!』