第87章 *懐刀インパクト*
バウル『ぐぅ..』
『あ、りがと..リィさ、』
リリア『テメーもだ。同行させてやってんだから、せいぜい俺たちの足を引っ張るような真似はすんな。ヘマしたとしても助けねぇ..黒兎だからって特別扱いはしねぇからな』
『..ん。ごめんなさい』
シュンと肩を落とし落ち込むレイラを、ユウとシルバーは両サイドから慰めるように背をトントンと叩いた
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リリア『それで、人間ども。お前たちの名は?』
シルバー『..シルバーです』
グリム『オレ様はグリム。こっちはユウとレイラなんだぞ』
ユウ『ユウです』
『レイラ・フィリアス..』
セベク『セベク・ジグボルトと申します』
バウル『..なに?ジグボルトだと!?』
リリア『バウルと同じ姓だな。そういえば、どことなく顔も似ているような..』
バウル『は!?この人間と、私が似ている!?ありえない!』
そう言うと徐ろに自らの仮面に手をかけ、少しもたついた様子で勢いよく外した
森の木々から降り注ぐ月明かりに照らされたその顔は、リリアの言う通りセベクととてもよく似ていた
バウル『どうです、全く似ていないでしょう!』
『『!!!』』
その顔にシルバーとセベクは分かりやすいほど反応し、特にセベクは自身の中にある仮定が確実になり、瞳を泳がせながらテンパり始めた
セベク『おっ..おお..おじ..っ』
バウル『叔父だと?私には甥などいない。デタラメを言うな、人間!
この者は、我がジグボルト一族の象徴である鱗もない。偶然同姓なだけでしょう』
セベク『デタラメではありません!僕は妖精の血を引く、ジグボルトの血族です!母にはあなたと同じ鱗もあります』
バウル『ではなぜ貴様にはないのだ!』
セベク『そ、それは僕の父が..いえ、何でもありません。忘れてください』
リリア『だが、バウルは夕焼けの草原から茨の国へ移住してきたんだってよな。外つ国に遠縁がいても不思議じゃねえ。
これも縁だ。お前がこいつらの面倒を見てやれ』