第87章 *懐刀インパクト*
異形の戦士『..何だと?』
グリム『急に何言ってんだゾ、シルバー!?せっかく 見逃してくれたのに!』
シルバー『何の成果もあげられないまま、学園に戻るわけにいかないっ..俺たちがナイトレイヴンカレッジの魔法士の実力を見せよう。決してあなた方の足手まといにはならない。魔法も、武術も心得はある!』
右大将『お前たちでもわかる言葉で言ってやったつもりだが..伝わらなかったか?冥府に足を突っ込む前に去れ、人間ども』
グリム『うぅっ..ツノ太郎に睨まれた時みてぇに、背中がゾワゾワするんだゾ!』
シルバー『なんと言われようが、帰りません!俺たちを同行させてください!!』
『『....』』
感情の読めない仮面の奥の赤い瞳とシルバーの真剣な銀の瞳が互いにぶつかり合う。一呼吸の間の後、右大将と呼ばれた人物は"いいだろう"と僅かに頷いた
バウル『何を仰るのです、右大将殿!?素性もわからぬ怪しい人間を我が隊に同行させるなど!』
隣で猛抗議するバウルに、右大将はそっと近寄るとヒソヒソと小声で何かを話し始めた。聞き取れない小声にシルバーたちは立ち尽くすだけだったが、ようやく落ち着いてきたレイラだけは唯一その耳に会話の内容が聞こえてきた
右大将『だからだよ。野放しにして面倒を起こされちゃ厄介だ。少し痛い目を見せてやれば、尻尾巻いて逃げ出すだろうさ』
バウル『ぐぬ..それは、確かに』
『..私達のこと、追い出すつもりだ』
ユウ『え、そうなの?』
シルバー『あの小声も聞こえるのか(これだけ耳がいいなら、セベクやあの人物の声に怯えたのも納得だ)』
右大将『よく聞けガキども。俺たちに同行するには、条件がある』
シルバー『条件?』
右大将『お前たちが、この俺に髪の毛一筋ほどでも傷をつけられたら..だ。
まとめてかかってこい、人間ども』
クイクイと手で挑発するように誘う右大将に、シルバーは一瞬戸惑いに足をすくめた