第87章 *懐刀インパクト*
『ご、ごめ..っ..ぅぅ..』
セベク『い、いきなり何なのだ!何を泣いている!?』
シルバー『いきなり知らない土地に飛ばされて、突然襲われれば確かに恐ろしくて泣きたくも..』
ユウ『いや、違います。この状況というより、そこの人がいきなり大きな声で怒ったからだと思います。この子、大きな声とか争う声とか苦手なんです』
事情を一番良く知るユウはすぐにレイラを抱きしめ、震える肩を優しく擦りながらなだめ始める
ユウ『大丈夫だよ。怖かったね、ビックリしたね。よしよし、大丈夫大丈夫』
『ぅっ..ぅっ..ひっく..ぅぇぇ..』
グリム『おい、オメーがいきなり怒鳴るからレイラが泣いちまったじゃねーか!』
異形の戦士『あ?テメーらが勝手にこの森に入ってきたのが悪いんだろうが。つかこの程度で泣いてんじゃねぇよ。
!!..おい、その耳と髪、目の色..まさか..』
ザッザッザッザッ!!
?『伝令ーーーーー!!!』
グリムの抗議に吐き捨てるように一蹴する異形の人物にレイラの姿が映り、その瞬間とんでもない物を見たように驚いた声が上ずる
そんな彼の背後の森から、よく響く声を上げながらワニのような仮面をつけた異形の者が姿を見せ彼の隣に並び立った
?『申し上げます!右大将殿!!』
『(ビクッ!!)』
ユウ『ああもう次から次にうるさいのが..
大丈夫だよ。僕にギュッてしてて』
『ん..』
異形の戦士『うるせぇぞ、バウル。今度は何だ』
セベク『!!バ、バウルだと!?』
バウルと呼ばれたその者の名にセベクが驚きの声を上げる。知り合いなのかと問われると、歯切れの悪い声で信じられないと言わんばかりに頭を抱える
バウル『ん?何だ貴様らは。むっ!その丸い耳..まさか"鉄の者"か!?』
異形の戦士『ただの迷子のガキだ、放っておけ。それで?』
バウル『..はっ!!では、申し上げます。森の警備に当たっていた者から"銀の梟"の報告が。奴ら、魔の山の麓に天幕を張り、辺りを荒らしているようです』
異形の戦士『ちっ..懲りない奴らだ。行くぞ、蹴散らしてやる』
シルバー『待ってくれ!!』
異形の戦士『あ?』
シルバー『おっ、俺たちを..あなたたちに同行させてほしい!』