第87章 *懐刀インパクト*
グリム『ひぃっ!非常食にはされたくねぇんだゾ!』
セベク『ぼ、僕たちは決して怪しいものではない。魔法士養成学校の学生だ!』
『ナイトレイブンカレッジ、の生徒なの』
ユウ『そうなんです!あ、学生証もあります!』
ポケットから学生証を取り出し身の証明をするも、目の前の異形の人物は怪訝そうに仮面の裏側で眉をひそめた
異形の戦士『ナイトレイブンカレッジ..だと?』
セベク『そうだ。賢者の島にある..』
異形の戦士『俺は人間が作った魔法学校なんぞ興味ねえっつってんだろうが!』
『『!?』』
異形の戦士『この俺に"魔法を教えてやる"だ?ガキのいたずら程度の魔法しか使えないくせに。手紙だけじゃ飽き足らず、使い魔でよこすとは..なんてしつこい奴らだ。テメーらに教わることなんか一つもねえよ。馬鹿にしてんのか、あぁ?』
グリム『ふなぁ!?オレ様達そんなこと一言も言ってねーんだぞ!』
シルバー『あ、その、俺たちは..』
異形の戦士『大体、俺は茨の国を荒らす"銀の梟"どもの相手で忙しいんだ。お遊びに付き合ってる暇はねえ。今日のところは見逃してやる。さっさとこの国から出て行け人間ども』
キシャーッ!!と威嚇とも言葉とも取れる奇声を発すると、周りの異形の者たちも声を上げてこちらを威嚇する
グリム『う、うちの学校。あんな化け物みてーなやつにまで入学許可書を送ってんのか!?』
セベク『化け物だと!?言葉を慎め、魔獣!!彼らの鎧に入った模様を見ろ。あの紋章は茨の谷に仕える近衛兵の紋章だ。だが、かなり形が古い。どういうことだ..?』
シルバー『あの魔石器、そして先ほどあの兵士の周りを飛んでいた光..
おそらく、彼は..!』
『っ..ぐすっ..ぅっ..うぅっ..』
『『『!!??』』』
緊迫した空気の中聞こえてきた、か細く悲痛な泣き声に一同が顔を向けると、ユウの隣で座り込んでいたレイラの肩が震えていた
深紅の瞳から大粒の涙をこぼしながら、嗚咽を抑えようと両手で口を覆うが、隙間から堪えきれない声が漏れていく