第86章 *救出プロセス*
シルバー『うっ..そのようだ。誰の夢に渡ったのかまだ分らないが..
っ、レイラ、大丈夫か?』
腕に抱くレイラに呼びかけ体を起こしてやると、うめき声をあげながら目を覚まし、深紅の瞳がぼんやりと視線を彷徨わせながらシルバーを見つめた
『ん..大、丈夫。もしかして、オーロラさんの、ユニーク魔法?また助けてくれた..ありがと』
シルバー『当然のことをしただけだ。それに、お前を守るのは親..』
『ん?』
シルバー『..いや、なんでもない。お前を見ていると、無性に守らなくてはいけないと思ったんだ』
『...そっ、か..(それって、私が黒兎だから..オーロラさんの気持ちじゃ、ない)』
黒兎の特性である魅了による"身の危険が強まるほどに相手に守らせる"力が働いているのだと察し、レイラは素直に心から喜ぶことができなかった
少し顔を俯かせていると、窮地を脱してようやく一息ついたからか、セベクは自分のしたことにブルブルと手を震わせた
セベク『ぼ、僕は、若様に逆らって..うっ..なんてことをしてしまったんだ!信じられない!』
シルバー『落ち込むのは後だ。まずはどこかで一度体を休め、状況の整理をしたい。
ん?この森の風景、風の匂い..ここはもしかして』
周りの光景に見覚えがあるのか辺りをキョロキョロと見渡す。すると、突然森の向こうからヒュンと音が聞こえて来たと思いきや、全員の足元に大きな石が投げ込まれ、凄まじい砂埃が舞い上がる
ドンッ!!!
シルバー『はっ!伏せろ!!』
『『うわっ!!』』
『ひゃっ!!な、なに?』
シルバー『投擲か!?どこから狙っている?』
一番近くにいたレイラとグリムの肩を掴んで地面に伏せさせると、飛んできた方角を強く睨み付ける
砂埃の先から数人の足音が聞こえ、晴れた先に立っていたのはフードを被り刺々しい仮面を被り、鎧に身を包んだ異形の集団だった