第86章 *救出プロセス*
グリム『シ、シ、シルバー!あいつめちゃくちゃ怒ってるんだぞ。ここは謝っておいた方が..』
すっかりマレウスの形相と魔力に耳と尻尾を垂らしながら、シルバーへ謝罪を促すグリムを横目に、シルバーは1度目を閉じて大きく深呼吸をした
覚悟を決めてゆっくり目を開けた彼の手には武器が握られ、それはまっすぐにマレウスへと向けられていた
シルバー『ーーお許しください、マレウス様。元のあなたに戻っていただくためには..もう、こうするしかない!』
リリア『シルバー!?お主、何をするつもりじゃ!』
セベク『貴様!若様に武器を向けるなど..血迷ったか!?お下がりください、若様!ここは僕が!!』
マレウスを庇うように前へと出たセベクが同じく武器を取り、少し震える手でシルバーへと向けた
互いと戦うことにその目に若干の躊躇の色を見せ揺れ動くも、二人は同時に攻撃を仕掛け始めた
『ぅぅ..ぅ、ぁ..』
マレウス『レイラ、どうした?』
『ここ、は..ち、がう..』
マレウス『..シルバーの影響でお前もまた"醒めて"きているのか』
二人の戦いを見守るレイラの脳裏に再びオーバーブロットしたマレウスの姿が浮かび上がる。頭を覆っていたモヤやレイヤーのように重なっていた偽りの記憶がボロボロと崩れ始めていた
マレウス『お前は、お前だけは醒めることは許さない』
ユウ『っ、ストップ、ツノ太郎!!』
手をかざすマレウスよりも早く、いつの間にか背後に回っていたユウの手がレイラの腕を掴んで無理やり引きはがす
マレウス『!ユウ、お前..』
ユウ『これ以上、レイラを夢に堕としちゃだめ』
『ん、ぅ..ユ、ウ』
ユウ『こっちに行こう。今のツノ太郎に近づいちゃ危ないよ』
『わ、たし..ぅぅ..ツノ、たろ、が..オーバーブロット、して』
ユウ『うん、それで合ってるよ。一緒に、夢(ここ)から抜け出そうね』
痛む頭を押さえながら、二人はマレウスから足早に距離を取ってシルバーの後方へと移動した