第86章 *救出プロセス*
『ぁ、ん、そうだった。早く二人に会いたくて、ユウたちに言って先に来たんだった。ごめん、なんか頭がふわふわしてて』
マレウス『ふっ、寝起きのせいもあるだろうが、お前はいつもどこか呆けているからな』
リリア『仕方のない子じゃの。ほれ、これでどうじゃ〜?』
ワシっと両頬を包まれむにぃと左右に軽く引っ張られる。所謂"ほっぺたムニムニの刑"にされ、小さく鈍い痛みが走る
『むぃぃぃ〜〜..!!ひゃ、ひゃめれぇ』
リリア『なっはは!面白い顔になっとるぞ。それにしても柔らかくもちもちなほっぺじゃのう。これはいつまでも触っていられそうじゃ』
『ぷはっ!むぅ..リィさんのいじわる』
リリア『すまんすまん。あまりにも触り心地が良くてな』
マレウス『少し赤くなってしまったな。僕が冷やしてやるから、こっちに来るといい』
手招きされるままに近づくと、魔法で少し冷やしたのかヒヤッとした感覚に包まれ、心地よい温度に目をゆったりと細めた
『んへへ、気持ちいい..そういえば、ユウはまだ来てないのかな?それに、いつもいるオーロラさんと雷さんは?』
リリア『オーロラ..雷..?ああ、シルバーとセベクのことか。セベクはさっきまでおったんじゃが、シルバーがいつまで経っても来る気配がないことに痺れを切らして、呼んでくると言って出ていったぞ』
『そっか..じゃあもう少し待てば来るかも。ユウとグリムは..大丈夫かな?』
マレウス『セベクとシルバーが来て、それでも来ないようならば僕が迎えに行く。だから安心しろ』
『ん』
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それから暫く3人で他愛もない話に花を咲かせていると、廊下の方から複数人の足音と、慣れたグリムの魔力の匂いがふわりと漂ってきた
『来たかも』
マレウス『どうやらそのようだな』
セベク『若様!リリア様!シルバーを連れてまいりました!』
マレウス『ようやく来たか。待っていたぞ』
リリア『はは、髪がボサボサじゃし、帽子も曲がっておる。どこぞで昼寝でもしていたのか、シルバー?』
慈愛に満ちた赤い瞳を細めながら、まるで我が子にするような手付きでシルバーの乱れた髪を直してやった