第85章 *送別スタート!*
バンッ!!
ヒュオオオオーーーー!!!
宴の空気を割くように、談話室の全ての窓が勢いよく開き、そこから入ってきた冷たい風が部屋中に吹き荒れる。余りの勢いに一同が顔の前に腕を出して耐える
やがて風が収まると同時に、緑色の炎が談話室の中央に突如現れては燃えあがり、その炎の中から今まで顔を見せなかったマレウスが姿を見せた
ユウ『ツノ太郎..?』
ようやく現れたマレウスに安堵するも、何故か彼の纏う雰囲気がいつもの彼ではない気がして、ユウの背に悪寒が走る
『けほっ..(なに、このやな感じ..)』
マレウス『これはこれは..随分華やかなパーティーだ。生徒も教員も..皆お揃いで』
周りを囲む生徒や教師たちの一瞥すると、集まった人数の多さに薄い笑みを浮かべる。突然のマレウスの登場に、周りからはどよめく声があがる
すると再び緑色の炎が燃え、今度はマレウスを探しに出ていたシルバーが現れた。だがシルバー本人はマレウスに突然連れてこられたのか、いきなり談話室へと移動したことに戸惑いを隠せないでいた
シルバー『..っ!?こ、ここは?ディアソムニア?』
リリア『マレウス、シルバー?どうしたんじゃ。2人とも、そんなに雪まみれになって。鼻の頭が真っ赤だぞ、シルバー。
..おぬし、泣いておったのか?』
シルバー『いえっ!違います、これはそのっ..』
目を赤くさせながら狼狽えるシルバーの言葉を遮るように、マレウスはリリアの名を呼びながら一歩前に出た
マレウス『今日は招待状をありがとう。来るのが遅くなってすまない。ずっと考えていたんだ。僕からお前に..いや、お前たちにどんな贈り物をするべきか。
そしてようやく答えが出た。
どうか受け取ってほしい..僕の心からの贈り物を』
リリア『贈り物?マレウス..お前、何を考えている?』
纏う雰囲気がいつもと違うことにリリアたちも気づいたのか、彼らのこめかみには冷や汗が一筋流れ出た
マレウス『よく聞くがいい、皆の者!お前たちに、素晴らしい贈り物を授けよう。もう別れを惜しんで涙を流す必要はない。
今日祝うべきは別れ(終わり)ではなく、誕生(始まり)だ!』