第85章 *送別スタート!*
だんだん強まる軋みに、さっきまで会話に花を咲かせて盛り上がっていた周りの生徒たちから、どよめく声が聞こえ始める
『ーーーっ..けほっ、けほっ』
リリア『レイラ、心を鎮めよ。ただでさえも体調が悪いのに、これ以上体に負担をかけてはならん。己を大事にせよ』
軋みと同時に感じる肌を刺すような魔力の波動を感じ取り、それがレイラのものだと気づくと、急いで駆け寄り落ち着かせるように低い声で頭を撫でる
『ぅ..ご、めん』
エペル『収まった、かな』
ジャック『みたいだな』
デュース『さっきの軋み、すげー魔力を感じた。あれもレイラの力なのか』
エース『ま、あんなこと言われちゃイラつくのも分かるけど。いつものあの闇の手を出して殴んなかっただけ、まだマシでしょ』
デュース『だな』
リリア『やれやれ..おぬしもいい加減にせんか、セベク!』
セベク『し、しかし..むぅ..』
リリア『まったく。幼い頃からバウルによく懐いていたとは 聞いていたが..本当に喋り方から考え方まで、お主の祖父に生き写しじゃ。その若さでこうも頭が硬くては、先が思いやられるぞ。せっかく自分とは違う考えを持つ若者たちと触れ合う機会を得たのだ。それを無駄にするな。
お前が考えるより世界は広く、学ぶべきものは多くある。自ら世界を狭めるでない。良いか?』
セベク『リリア様..はい、申し訳ありません。そのお言葉、しかと胸に刻みます』
叱責されシュンと落ち込むセベクだったが、自分を睨むように見つめて来るエースたちを見やると、"ふんっ!"と顔をそっぽ向けた
ユウ『殴ったろか?』
エース『駄目だこりゃ。リリア様のお言葉を全然心に刻めてねーじゃん..っと、レイラ〜、だからってまたここを軋ませんなよ』
『..じゃあ、こうやって抱きついてていい?』
座りながら自らの腰に抱きついて上目で見つめてくる愛くるしい姿に"うっ"と悶えつつ、頷いて好きなようにさせた
などと盛り上がる(?)一同に黒い影が近づき、楽しい宴は唐突に終わりを迎えた
学園長『ヴァンルージュくん、お話中失礼しますよ』
リリア『学園長』
学園長『..迎えの馬車が来ました。出発の時間です』