第85章 *送別スタート!*
握られた手に胸の奥がトクンと高鳴り、自然と顔が緩んでいく。これも黒兎の力なのかと嬉しそうに目を細める
そんな中、突然ユウが頭を押さえながら体をフラつかせ、襲ってきた目眩を払うように首を振った
ユウの脳裏に過ぎたのは、夢に現れたあの黒い妖精
姫の誕生を祝うパーティーに現れ、呪いを振りまいて民衆を嘲笑う姿に頭痛にも似た感覚が襲う
『ユウ?気分、悪い?っ、こほ..』
リリア『..?どうした?突然ぼんやりして..大丈夫か?』
ユウ『大丈夫です、すみません』
グリム『ユウ、最近ボーッとしてることが多いんだゾ』
リリア『うちのシルバーも眠気に負けて、立ったまま寝ていることがよくあるが..ふむ。
ちと気になるな。今度、学園長に相談してみるがよい』
ユウ『はい、そうしてみます』
『...こほっ、こほっ..』
リリア『レイラも咳き込んでいるな。おぬしも学園長か魔法医術士に相談してみよ』
『ん..こほっ..』
ユウ『(なんなんだ..頭がクラクラする)』
ジャック『おい、本当に大丈夫か?足がフラついてんぞ』
オルト『二人共。着席して、少し休息を取ることをおすすめするよ』
エペル『うん。顔色があまり良くないみたい』
ユウ『僕は大丈夫だよ。レイラを座らせてあげて』
『こほっ..ん"んっ..』
明らかに体調が悪そうな二人の様子にジャックたちが心配そうに見つめる中、エースは静かにデュースの横へと近づき、背中をノックするようにトントンと叩いて囁く
エース『デュース。ユウとレイラが調子悪そうだし、挨拶したら帰ろうぜ』
デュース『だな。レイラの咳も日に日に酷くなってるし、早く退席するか。その前にパーティーの主役にはちゃんと挨拶しとかないと、あとで寮長に首をはねられる』
エース『"ハートの女王の法律以前のマナー"ね』
『むぅ...けほっ』
ユウ『熱は..ないね。無理しないで、酷かったら言ってね』
『ん。ユウもフラフラしてる。無理しないで..一緒に座ろ?』
ユウ『ありがとう。じゃあ僕も少し休もうかな』
ジャック『お前ら二人して風邪でもひいたのか?』
ユウ『いやぁ、そんなはずはないんだけどね』