第85章 *送別スタート!*
リリア『..ふむ。ユウたちも来てくれたのだから、マレウスも顔を出せばよかったのにのぅ』
グリム『あいつ、来てねぇのか?自分のとこの子分のお別れ会だってのに..親分としてなってねぇんだゾ』
『ツノ太郎も多分寂しいんだよ。私も..やっぱり寂しい』
隣に寄り添ったレイラに服の裾を掴まれ顔を向けると、見上げてくる瞳が寂しげに揺れていることに気づき、そっと頬に手を添えて指で優しく撫でる
リリア『そうじゃな。だが、おぬしも寂しい気持ちを抱えたまま来てくれたではないか。あやつも、最後くらいはしっかり顔を出してほしかったのぅ。
そうじゃグリム。今度おぬしが、親分としての在り方をアドバイスしてやってくれ』
グリム『しょうがねぇな〜。さっき食べたうめー肉の分、このオレ様が親分の心得ってやつを指導してやる』
分かりやすく気分の上がったグリムを横目に、リリアはユウとレイラの両方へ向き直る
リリア『ユウ、レイラよ。これまでマレウスに対し、他の学友と変わらぬ態度で接してくれたこと、改めて礼を言う。
ありがとう』
スッと下げられた頭に戸惑いつつも、ユウは"礼を言われるほどでは"と首を振る。しかし、そのことに今度はリリアが首を横に振ると、上げたその顔に憂いの色を乗せて言葉を続けた
リリア『もう知ってると思うが、あやつは妖精であり、茨の谷の次期当主であり..世界屈指の強大な魔法士じゃ。大きな力を持つがゆえ、人々に遠ざけられることも多い。
だが..あやつには、もっと世界との触れ合いが..友と呼べる存在が必要なのだ。
わしはこの学園を去るが、どうかこれからもあやつと仲良くしてやってくれ』
ユウ『ええ、勿論です』
『ツノ太郎はもうお友達だし、私にとって"大好きな人"だよ』
ザザザッ...
リリア『ああ、そうじゃな。その気持ちをどうか持ち続けてほしい。ふむ..惜しいことをしたかもしれん』
『ん?』
リリア『いやなに。おぬしにそこまで思われるあやつが羨ましくてな。わしも、そうなりたかったと..くふふ、年甲斐もなく嫉妬してしまった』
『..私、リィさんのことも大好き。もっとお話したかったし、こうやって触れ合いたかった』
リリア『レイラ..』
ユウ『ぅっ..』