第85章 *送別スタート!*
ディアソムニア寮・談話室
ーーーー数日後
日が沈み夜の帳が訪れ、普段なら生徒たちは各々の寮へと帰り、食事を取ったり風呂に入ったり、部屋で自由に過ごしている時間帯だが、今夜のディアソムニアは賑やかで楽しげな声で溢れかえっていた
全校生徒が集まっているのではないかと思うほどに、各寮の生徒たちや教師がテーブルにこれでもかと言わんばかりの豪華な料理を囲み、リドルやレオナなどの寮長たちを筆頭は、順に宴の主役であるリリアの元へ招待の礼を告げ、別れを惜しみつつも旅立ちの喜びを分かち合っていた
それぞれの思惑を抱えつつも笑顔に溢れた会話に、リリアは心の底から宴を楽しんでいた
ご馳走が出ると聞いて、到着するなり我先へと談話室へと駆け込み、テーブルの上の料理に食らいつくグリムと、そんなグリムを窘めながらエースとデュースも共に食事を楽しむ
そんな中、レイラは談話室に入るのを躊躇うように、入口の隅っこで小さくなりながら、その様子をそっと見つめていた
『...』
ユウ『..行くの、やだ?』
『行きたかったら、行っていい』
ユウ『レイラが行かないなら僕も行かない。君を一人にはさせないから』
『ユウ..』
そっけない言い方をしたのに、優しい声色で側にいてくれることが嬉しく、甘えるように指先でユウの手に触れる。すると静かに手を包まれじんわりとした温もりが伝う
暫くそうしていると、レイラたちに近いテーブルで食事をしていた一人の人影がこちらに気づき、ゆっくりと近づいてきた
シルバー『お前たちは..オンボロ寮の、ユウとレイラだったか?』
『オーロラさん』
ユウ『シルバー先輩、こんばんは』
シルバー『ああ。お前たちも親..リリア先輩のお別れ会に来てくれたんだな、ありがとう。だが何故そんな外れた所にいるんだ?もっと中へ来て、みんなと食事を楽しんでほしい』
ユウ『そうしたいのは山々なんですが』
『だって..だって、パーティーに参加したら、リィさんとお別れ..』
シルバー『..お前も、あの人との別れが辛いんだな』
『..オーロラさんも?』
シルバー『..ああ。だが笑顔で送ると決めた。お前も、どうかリリア先輩の門出を祝ってほしい。さあ、こちらへ。案内する』