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【ツイステ】黒兎は駆け巡る

第85章 *送別スタート!*






暫く話をしていると、視界の端に映った壁掛け時計の針に、リリアはそろそろ時間だと思い話を切り上げることにした


リリア『沢山話してしまったな』


『ゃ、まだ行かないで..』


立ち上がろうとするリリアの服の裾をつまみ引き止めると、その手を優しく握られる


リリア『名残惜しいがここまでじゃ。寂しいがおぬしと話せて楽しかったぞ』


『ゃ..やなの。行かないでリィさん』


リリア『っとと、これは熱烈じゃのう。甘えんぼうの可愛い子ウサギじゃ』


抱きついてきたレイラを腕に閉じ込め優しく撫でると、ふわりと香ってきた匂いに目を細めスンと旋毛に鼻を近づけ嗅いだ


優しさの中に自分を誘うような危険な匂いに一瞬眉をひそめるも、すぐに穏やかな笑みでその匂いを堪能し始めた


リリア『(妖精すら惑わす魅了の力..本当に恐ろしいものよ)こらこら、その匂いを軽々しく出してはいかんぞ。アデルに教わらんかったのか?』


『リィさんともっといたいの..それに、何もお礼できてない。マジフト大会の時、助けてくれたのに。私のこと、黒兎のこと分かってくれて、優しい言葉もかけてもらったのに』


リリア『気にするでない。マジフト大会の時は当たり前のことをしたまでで、黒兎のことも、その苦しみを見聞きしたからこそ、それを少しでも払おうと思っただけのこと。

それに、礼を言うのはこちらの方じゃ。マレウスに分け隔てなく普通の友人として接してくれたこと、手紙を届けてくれたこと、そしてなによりも、おぬしが今日まで生きていてくれたことに、とても感謝しておるよ』


『もっと..早く仲良くなりたかった』


リリア『それはわしも同じ。しかし時の流れは止まってはくれない。出会いがあれば別れもある。だからわしは、今こうしておぬしと共に過ごせるこのひと時を、何よりの宝にする』


強く抱きしめられ少しの苦しさを感じつつも、与えられる温もりと言葉に心が暖かく包まれ、体の力がふわりと抜けていく


『リィさん..』


リリア『..そんな顔をしてはいかんぞ』


瞳を潤ませ縋るような表情に、込み上げる欲をグッと抑え込むと、幼い子供をあやすようにそっと額に口づけてもう一度抱きしめた





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