第85章 *送別スタート!*
『..分かった』
若干不服そうに頷くレイラに苦笑いで頭を一撫ですると、部屋を後にして玄関へと向かった
オンボロ寮・玄関
ユウ『はいはい、どちら様ですか?』
警戒しながらドアを少しだけ開いて外を見ると、そこには小柄な体でニコニコと笑みを浮かべるリリアの姿があった
リリア『おはよう、ユウ。なんじゃ?半分だけ顔を出して。どこぞのホラー映画のワンシーンのようじゃな』
ユウ『リリア先輩だったんですね..おはようございます。いや、先輩たちの寮とは違ってここは外に剥き出しの寮ですから、一応誰が来るか警戒してたんです』
リリア『うむ、良い心がけじゃ。おぬしは魔力を持たぬし、なにより"あの子"がおるからな。おぬしがしっかり守ってくれていて助かっておる』
ユウ『僕がレイラに出来ることなんて、これくらいですから』
リリア『そう自分を過小評価するでない。おぬしがあの子にしてやっていることは、小さなことに見えてとても大きなことじゃ...っと、いかんいかん。本題を忘れるところじゃった』
思い出したように制服のポケットに手を入れると、カサリと音を立てながら1枚の手紙を取り出した
リリア『他の寮には使いを出して渡してもらったが、おぬしたちには直接渡したかったんじゃ。それに、最後にあの子と話もしたかったしのう』
ユウ『?なんですかこの手紙..招待状?...これっ、て』
ただの手紙にしては華やかな装飾に首を傾げながら中身を取り出し文字をたどると、ユウは驚きに目を見開いて目の前のリリアを凝視する
そこには"リリア・ヴァンルージュ お別れ会"と書かれてあり、内容はその会への招待だった
ユウ『リリア先輩、お別れ会って一体どういう..』
リリア『そのままの意味じゃ。わしは数日後に開かれるそのお別れ会の後、この学園を中退する』
ユウ『え..中、退って。卒業を待たずにここを出ていくんですか?でもどうして..』
リリア『それについて直接説明をしに来たんじゃ。自惚れかもしれんが、あの子はきっと寂しがる。ちゃんと話してやらねばならんと思っての』
困ったように笑うリリアを前に、未だに告げられた話に動揺が隠せずにいると、ふと後ろからパタ、パタとスリッパの乾いた音が近づいているのを聞き取り振り返る