第85章 *送別スタート!*
ある日のオンボロ寮
カーテンの隙間から差し込む陽の光が部屋を優しく照らす。今日は休日ということもあって、グリムとレイラはのんびりと遅寝を満喫していた
ユウ『可愛い寝顔』
腕の中でまるで天使のような愛らしい寝顔で眠るレイラに顔をほころばせると、そっと前髪を指でよけて額にキスを落とした
ユウ『..でも3年生の実習の話を聞いてからは、ほんと元気なくしちゃってるなぁ』
授業中やそれ以外の時でもどこか暗い面持ちで遠くを見つめ、少し目を離すと小さく泣いているのを見かけ、日に日に元気が無くなっていっているのを感じていた
ユウ『仕方ないことだって分かってるんだろうけど、やっぱり寂しいものは寂しいよね』
そうしてフワフワの黒髪を優しく撫でていると、モゾっと身じろぎしたレイラが体を丸めて体をぶるりと震わせた
『..ぅ..っ、こほっ..』
ユウ『....』
『こほっ..こほっ..ぅっ..』
ユウ『まただ..レイラ、最近咳をすることが多くなってる。風邪かと思ったけど熱はないし、食欲もあるんだよね。でも目に見えて弱ってきてる気がする..一体どうしちゃったんだろう』
『こほ..ん..ユ、ウ..?』
深紅の目がぼんやりとユウの姿を捉え、寝起き特有の掠れ声が小さく耳を撫でる
ユウ『おはよう。また眠りながら咳してたけど、大丈夫?』
『..ん、大丈、ごほっ..』
ユウ『全然大丈夫じゃないよ。今日は大人しくベッドで安静にしてようね』
『むぅ..』
ユウ『僕も一緒にいるから』
『ん』
頷くレイラに良い子と撫でると、上半身だけ起きたがったのでゆっくり抱き起こし、細く小さな体を抱きしめた
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『こほっ..ん"んっ』
ユウ『本当に風邪じゃないんだよね?』
『ん。重いのはなくて、ちょっと咳がでちゃうだけ。だから心配しなくていいよ』
ユウ『十分心配するよ。きっとストレスが原因なんだろうね』
『ごめん』
ユウ『謝らないで。レイラが悪いんじゃないんだから』
ピンポーン
ユウ『お客さん?』
『行ってみよ』
ユウ『僕が見てくるから、レイラはここで大人しくしてて』