第84章 *ディアソムニア寮編〜深淵の支配者〜悶々アウェイク*
『(今日のツノ太郎、なんだかすごく寂しそう。ツノ太郎も、みんなとお別れなのが、やなのかな)』
マレウス『もう一つ聞いてもいいか?』
『ん』
マレウス『もし..家族や、友。何もかも失わずに済む方法があったとしたら..お前はそれを願うか?』
『勿論。それに、それを願わない人はいないよ。お別れが悲しくない人なんていない』
マレウス『ならばあいつはなぜ..いや、よそう。少し考えさせてくれ。僕に良い方法が思いつくかもしれない..ああ、もうあんなに月が高いな。部屋に戻って休むといい。ユウも心配している』
『ん。おやすみなさい、ツノ太郎』
マレウス『ああ。おやすみ、レイラ』
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オンボロ寮・自分たちの部屋
マレウスに別れを告げてそっと部屋まで戻ってくると、できるだけ物音を立てないように、エースの眠る布団へと入ろうとした
ユウ『おかえり』
『!..ただいま。起きててくれたの?』
ベッドからゴソッと起き上がったユウは、ようやく帰ってきたレイラの姿に安堵の笑みを浮かべる
ユウ『君がいないのに眠れるわけないよ。ツノ太郎とのお話、どうだった?』
『多分、今すごく寂しいんだと思う』
ユウ『だよね。僕と話してたときもなんかそんな雰囲気だった』
『ユウは..ユウは、寂しくない?みんなとお別れすること』
ユウ『寂しいよ。ここでの思い出は、何だかんだ楽しかったからさ』
『....じゃあ、なんで..』
ユウ『レイラ?』
『なんでもない。じゃあ、寝るね。おやすみ』
ユウ『?うん、おやすみ』
悲しい顔を見せる前に布団に潜り込むと、器用にエースの腕の中へと体を通して胸に顔を埋めて、モヤモヤした感情を振り払うように強く目をつぶった
[離れたくないなら、繋いで閉じ込めてしまえばいイ。キミにはその力があるシ、ボクも喜んで力を貸すヨ]
『でもそうしたらみんなは、ユウは..』
[なら、このまま彼らが自分の元から去っていってもいいんだネ。もう二度と会えない、触れてもらえない、愛の言葉だってもらえないヨ?
キミはまた、一人ぼっちに戻りたいのかナ?]
パリンと何かが割れる音がした