第84章 *ディアソムニア寮編〜深淵の支配者〜悶々アウェイク*
ベンチに腰掛け、伺うようにそっと寄りかかる。マレウスはそれを拒むことはせず、寧ろ肩を抱き寄せて髪に口づけた
『お話ってなぁに?』
マレウス『ユウが元の世界に帰れる方法を見つけたかもしれないということを聞いたか?』
『...』
ギュッとスカートの上で拳を握ると、肩に添えられた手が労るように撫でる
マレウス『..みな、席を立っていく。いずれは、お前も』
『私はみんなと一緒がいい。ずっと離れたくない。ツノ太郎とも、もっと一緒にいたい。9月になったら、3年のみんなはここにはいなくなっちゃうんでしょ?それが寂しくて、怖くて、ずっとここがモヤモヤしてるの』
服の上から胸の辺りを押さえる。深紅の瞳から今にも零れ落ちそうに雫が光る
マレウス『お前は僕と、僕たちを失いたくないのだな。ずっと、側にいようとしてくれるのか。
レイラ。もし、永遠に側にいてほしいと願えば、お前はそれを受け入れてくれるか?』
ぐっと顔が近づき、大きな手のひらが頬を撫でた。指先が目元を拭いながら縋るような瞳でまっすぐに見つめると、その手に自身の手を重ねて目の前の愛らしい顔は小さく微笑んだ
『ん。一緒にいるよ。私はね、大好きな人たちとずっと、ずーっと一緒にいたいの。だから、ツノ太郎の側にもいるよ』
マレウス『レイラ..』
ゆらりと熱を帯びたライムグリーンが揺れ、マレウスは顔をさらに近づけていく。察したレイラは目を閉じてそれを待つ
しかし直前でそれは止まり、代わりに額へと優しいキスが落とされた
『..こっちは?』
マレウス『その内、奪わせてもらう』
親指で唇を撫でて目を細めて笑うと、少し不満そうに顔をしかめるレイラを抱きしめた