第84章 *ディアソムニア寮編〜深淵の支配者〜悶々アウェイク*
カーン、カーン
シルバー『予鈴です。急ぎましょう、マレウス様、リリア先輩』
マレウス『ああ』
『...』
マレウス『そう悲しい顔をするな。連れ去りたくなるだろう。そうだお前たち、茨の魔女について知りたいなら、ディアソムニアを訪ねてくるといい。僕がもっと詳しく教えてやろう では、またな』
ユウ『うん、またね』
『また、ね』
名残惜しそうに体を離すと、寂しげに見上げてくるレイラの髪を優しく撫でると、リリアと共に校舎の方へと向かっていった
その後ろを続くように歩きだしたシルバーとセベクだったが、突然くるりと振り返ったセベクは険しい顔でビッとこちらへ指差した
セベク『おい人間ども!マレウス様が優しくしてくださるからといって調子に乗るなよ。本来ならば、貴様らのように平々凡々ボンボンな民草が軽々しく声をかけて良い御方ではないのだからな!』
『...(プイっ)』
セベク『おい、聞いているのか!』
『ぅぅ..』
セベク『!!な、泣くな!いいか、よく覚えておけよ!』
泣きそうな顔に怖じ気ついたのか、それ以上は言わず慌ててマレウス達を追いかけていった
ユウ『なんだあの少女漫画に出てくる、イケメンキャラの取り巻きのモブ女子みたいなセリフは..』
呆れのため息を吐きながらレイラの元へ行くと、なだめるように背中をさすり優しく押していく
ユウ『僕らも行こっか、ね?』
『..ん』
元気なく頷くと、トボトボとした足取りで校舎へと向かう。そんなレイラたちの行く先で先を歩く生徒たちは、自分たちの前を堂々と歩くマレウスを見てヒソヒソと話し出す
?『うわ、前見ろよ。マレウス・ドラコニア御一行だ』
?『急いでるのにマジか〜..追い抜かしただけで呪われたりしないよな?』
?『流石にないだろ。でも、確かにすれ違うだけで緊張するよ』
?『ドラコニアって世界で5本の指に入る化け物クラスの魔力を持ってるんだろう?なんで魔法士養成学校なんかに入学したんだか..もう学ぶ必要ないだろう』
?『さあな。あいつ、普段から何考えてるか分からなくて怖いし..』
ユウ『..ツノ太郎、なんか苦労してそうだなぁ』
『..優しい人なのに』