第84章 *ディアソムニア寮編〜深淵の支配者〜悶々アウェイク*
グリム『こいつ、さっきから何でこんなに偉そうなんだゾ!お前は茨の魔女じゃねえだろ』
シルバー『セベク、それくらいにしておけ』
今にも噛みつき合いそうなグリムとセベクを諌めていると、遠くからバタバタと忙しない足音と共に、リリアが酷く焦った様子で駆けてきた
リリア『まずい、遅刻じゃ〜!』
マレウス『..リリア?どうした、そんなに慌てて』
リリア『はぁ、はぁ..昨夜ネトゲ友達とゲームで盛り上がりすぎてな。おかげで寝坊してしもうた。シルバー何で起こしてくれんかったんじゃ〜』
シルバー『俺は起こしましたよ、3回も。そもそも、俺に期待しないでください。寝起きには不安があるの知ってるでしょう』
『あっ、コウモリさん。髪が凄くぴょんぴょんしてる。直してあげるね』
リリア『すまんのぅ。お主は優しい子じゃな』
慌てて来たせいか所々跳ねている寝癖を優しく撫でて直してやると、お礼にと少し小さな手で撫で返された
マレウス『ふふ、お前なら身支度も移動も魔法で一瞬だろうに..まだ寝ぼけているようだな』
リリア『んんっ、そんなことよりマレウス。今日の一限目、わしら3年生は講堂に集合だぞ。忘れてはおらんだろうな?』
マレウス『..む。あの集まりは今日だったか?』
リリア『まったく。その若さでボケられては困るぞ』
『今日は何かあるの?』
リリア『うむ。ナイトレイヴンカレッジは4年生になったら 学外に研修に行くじゃろう?今日はそれについてのオリエンテーションがあるんじゃ。研修が始まるのは新学期に入ってすぐ。すでに花の蕾も膨らみ始めておる。そろそろ準備をせねばなるまい』
ユウ『あ〜、そういえば文化祭の時そんな話してましたね』
『ぇ..じゃあ、もうすぐ3年生のみんなとは会えなくなるの?..や..そんなの、や..』
突然襲いくる寂しさに目元を潤ませ、自分を包むマレウスと隣に立つリリアの手をそっと握る
リリア『悲しいがこれは決まりじゃからのぅ。まあ、文化祭の時のような時間や催しがあれば戻ってくる。それに、新学期にはまだ少し時間はあるぞ』
『ぅぅ..でも、』