第84章 *ディアソムニア寮編〜深淵の支配者〜悶々アウェイク*
セベク『そんなことより、まずは若様に無礼を詫びろ!』
マレウスからの叱責を受け先程より幾分か声は落ちたものの、近くで聞いていたため、またビクッと肩を震わせる。そんなレイラの頭をそっとマレウスは撫でてやった
マレウス『いい、セベク。そのヒトの子に"ツノ太郎"というあだ名を許したのは僕だ』
セベク『なっ、なんと..そうでしたか。さすがは若様、お心が海より広くていらっしゃいます!』
シルバー『..はぁ、セベク。まずは先走って一方的に怒鳴ったことを謝罪するべきじゃないのか。そこのユウ、だったか?彼の言うとおり、若様のご友人に突然無礼を働いたのはお前の方だぞ』
セベク『ぐ..ボーッと突っ立っているだけの貴様に言われたくはないぞ、シルバー!!』
グリム『なんだこいつら..この前よりもずっとうるせーんだゾ』
『むぅぅ..』
うるさいと言わんばかりにマレウスの制服をギュッと握りしめると、大きな手のひらが優しく耳を労るように撫でつけた
マレウス『お前たち、茨の魔女の伝説に興味があるのか?僕が知っていることであれば、教えてやろう』
ユウ『う〜ん。じゃあさ、その茨の魔女さんって嫌われ者だったりする?』
マレウス『嫌われ者?』
セベク『貴様っ!誉れ高きグレート・セブンになんということを!茨の魔女は何者にも負けない魔力と、高尚な精神を持っていた。尊敬されこそすれ、嫌われるはずがない!!』
マレウス『それはどうだろうな。彼女があまりにも優れた人物"だからこそ"恐れられ遠ざけられることもあっただろう。"尊敬"は"畏敬"になり、やがて"畏怖"となる。世の常だ』
セベク『そのような理由で茨の魔女を嫌う愚か者など、道端の小石も同然です。気に留める価値もありません!若様にくだらない質問をするな、人間!!』
ユウ『はいはい悪かったですよ〜。というか、声落とせって言われたのにもう忘れてるし』
シルバー『すまない、本当に』
『ツノ太郎のその撫で方好き。もっとして?』
マレウス『ふっ、いいだろう(本当に、可愛いやつだ)』
ふにゃとした笑顔に表情を緩めると、優しく撫でるのを続けた