第84章 *ディアソムニア寮編〜深淵の支配者〜悶々アウェイク*
ナイトレイヴンカレッジ・メインストリート
手早く朝食を済ませたユウは、一目散にメインストリートへと駆け出し両脇に佇むグレート・セブンの石像を順番に見ていき、1つの石像の前で足を止めた
ユウ『この人だ..夢に出てきた黒い妖精』
グリム『こら、ユウ!オレ様たちを置いて行くんじゃねーっ!』
『はぁっ、はぁっ、待って..』
ユウ『あっ、ご、ごめんね!落ち着いてゆっくり呼吸して』
乱れる呼吸を整えさせるように背中を擦りながらも、ユウはグレート・セブンの石像をジッと見つめた
ユウ『(見間違いじゃない。この人が..)』
グリム『なんなんだゾ。グレート・セブンの石像なんか見て』
『この人って"茨の魔女"って呼ばれてる人だよね』
"茨の魔女"
頭に二本の角を生やし、大きなローブを纏った威厳のある女性。石像であるにも関わらず、その姿からは凄まじいオーラが滲み出ていた
グリム『..この石像に掘られてる文字。トレインの小テストの範囲だったっけ?なになに..』
?『"魔の山に君臨する茨の魔女。雷雲や茨を操り、何者にも覆せない魔力を持つ。多くの配下を従えながらも孤高を愛した、高尚な魔女"と 掘ってある。そして我がディアソムには 、彼女の高尚な精神に基づいた寮だ』
声の主の方を振り返ると、少し自慢げな笑みを浮かべるマレウスが後ろにセベクとシルバーを従えてこちらへと歩いてきていた
ユウ『グリムが解読する前に言っちゃった。でも、説明ありがとう』
『おはよう、ツノ太郎』
朝からマレウスに会えたのが嬉しくなり、両腕を広げてマレウスへと抱きつこうとする
セベク『ツッ、ツ、ツノた..っ!?貴様ぁ!!若様になんという口の利き方を!!』
セベクの爆音ボイスがメインストリート中に響き渡る。自分の仕える主が、まさかそんな珍妙なあだ名で呼ばれているとは知らず、無礼なやつだとレイラへと怒りの矛先を向けた
セベク『若様になんという屈辱を..こちらにおわすお方は、茨の谷の次期当主であり、高尚たるディアソムニアの寮長..そして気高き夜の眷属の長となるお方、マレウス・ドラコニア様であるぞ!!無礼を伏して詫びろ!!人間!!』