第84章 *ディアソムニア寮編〜深淵の支配者〜悶々アウェイク*
ユウ『産声が聞こえる..』
ユウは夢を見ていた
楽しそうな笑い声が響く城内。ある王とお妃の間に生まれた王女の誕生を祝いに、城下から人々が集まっていたのだ
王は昔ながらの友人という3人の"善き"妖精も招かれ、3人はそれぞれ1つずつ王女へ魔法の贈り物を捧げた
・美しさ
・幸せ
そして最後の妖精が贈り物を捧げようとしたその時、空が曇り雷雲が立ち込め、不穏な魔力と共に真っ黒な妖精が現れた
"マレフィセント"
そう呼ばれた妖精は、自分は王女の誕生パーティに呼ばれていないから心配になって来たと言って長いマントを翻す
すると、3人の妖精の1人から"招かれていないからよ"と言われ、黒い妖精は悲しげに笑いながら杖を振りかざして高らかに告げた
"王女は美しく優しく育ち、あらゆる人から愛されるだろう
しかし、16歳の誕生日の陽が沈むまでに糸車の針で指を刺して死ぬ"
呪いの贈り物が降り注ぎ、黒い妖精は笑いながら姿を消していった
ユウ『つまり1人だけ仲間はずれ..?』
オンボロ寮・自分たちの部屋
ユウ『今の夢は..』
グリム『ふぁ〜あ..おはようなんだゾ、ユウ』
ユウ『おはよう、グリ..っ!!』
ザザっと夢に現れた黒い妖精が脳裏に浮かぶ。どこかで見た覚えのある姿にユウは思い出すと、飛び起きて急いで身支度をし始めた
グリム『ふなっ!?どうしたんだゾ!』
『んぅぅ〜..な、に?おはよぉ..』
グリム『おう、おはようなんだゾ。なんかユウのやつ、いきなり飛び起きて準備し始めたんだ。はは〜ん、さては宿題し忘れてエースにでも写させてもらうつもりなんだろ?』
ユウ『違うって!ちょっと確かめたいことがあるんだよ。ごめん、2人とも今日はちょっと早めに出よう』
グリム『えぇ〜..仕方ねぇな』
ユウ『レイラ、ほら起きて。お着替えしてご飯食べようね』
『むぅぅぅ〜..眠い』
ユウ『お願い、すぐに確かめたいことがあるの。起きて、ね?』
『ギュッてして撫で撫でしてくれたら起きる』
ユウ『お安い御用だよ』
望み通り優しく抱き起こし髪を撫でてついでに頬にキスを贈ると、レイラは嬉しそうに顔を綻ばせた