第83章 *閑話カームデイ12 〜クルーウェル・一部クロウリー〜*
まんまと策に嵌って、レイラが自分にとって特別な存在であり、"そういう関係"だと言っているような態度をとってしまったことに、焦りと後悔がせり上がる。そしてあの程度で取り乱した自分を見せてしまい、不安そうに見上げる目の前の愛しい存在に申し訳なさも感じていた
クルーウェル『悪かった..情けない姿を見せたな。もし、学園長に俺たちのことを言われたら、』
『..多分、だけど..クロさんは何も言わないと思う』
クルーウェル『どうだろうな』
ナイトレイブンカレッジ・学園長室
学園長室へと戻ってきたクロウリーはデスクに腰掛けると、心底面白いものを見たように口角を妖しく上げた
学園長『あんな簡単に引っかかってくれるとは思いませんでした。やはりクルーウェル先生も、彼女の虜というわけですか』
レイラの髪を撫でたときに見せた歪んだ表情。そして顔を近づけて頬を撫でたときの慌てた彼の瞳に灯った怒りの炎を思い出し、ククッと喉を震わせて笑う
クロウリー『いくら隠したところで、いざ奪われそうになると繕いなど簡単に剥がれてしまう。彼もまだまだ若いですねぇ..
それにしても、あの子はなんて恐ろしくて愛らしいんでしょう。生徒だけでなく私達教師すらその手中に収めて..』
突然言葉が途切れる。ニコニコしていた顔を無表情に変えると、今自分が言ったことを反復して繰り返す
"私達.."
その言葉に暫く時間を置いてもう一度考える
何故"私達"なのかと
その答えに辿り着くと同時に、物凄い勢いで様々な感情がクロウリーの体を駆け巡った
一言で表すなら"欲望"
脳裏に浮かぶ真っ黒な小さな兎を手にしたい、攫って閉じ込めて、自分だけのものにしたい。その無垢な体を暴いて自分の色に染め上げ、あの誰もが見惚れる笑顔を己だけに向けられたい
学園長『ああ、いけませんねぇ..これはいけません。彼女は生徒だというのに。ですがこればかりは抑えられそうにない』
席から立ち上がり窓辺から眼下に広がる運動場を見下ろす。今頃授業を受けているであろう愛しの兎へ捕食者の瞳を向ける
学園長『私は優しいので黙っていてあげますよ。ですが..ふふ、私もあの子が欲しいので、そういう意味では容赦しませんよ』