第83章 *閑話カームデイ12 〜クルーウェル・一部クロウリー〜*
『ぁ..ん、じゃあ行くね』
学園長『待ってください、レイラさん』
踵を返して去っていこうとするレイラを呼び止めると、クロウリーはおもむろに近づき、そっと手を伸ばした
『なに?クロさ..わ..』
カラスの爪のような鋭いネイルカバーをつけた手が眼前に迫り、頭の上にポンと手のひらが置かれる
学園長『髪の毛に糸がついてますよ。取ってあげますね、私とっても優しいので』
『ん、ありがと』
鋭い爪で肌を傷つけないように髪を撫でていく。その光景にクルーウェルは先程の焦りや不安が消え、代わりに怒りが沸々とこみ上げていく
クルーウェル『(やめろ、俺の子兎だ..)』
学園長『..おや、頬にも何かついていますねぇ』
『ぇ、ほんと?ぁぅ..恥ずかしい』
学園長『取ってあげますよ..う〜ん、よく見えませんね』
目を細めながら頬に指を滑らせ、ゆっくりと顔を近づけていく。仮面の嘴がツンとレイラの鼻に触れるほどの距離になったところで、ついにクルーウェルは我慢の限界を超えた
クルーウェル『っ、学園長!』
『先、生?』
学園長『おや、どうしましたか?』
クルーウェル『あまり生徒にそのような近さで触れるのは..ましてや、レイラは女性です』
グレーの瞳が鋭さを増して睨みつける。怒りの炎がチリっと燃え、早く離れろと言わんばかりの圧を放っていた
学園長『..(人のこと言えるんですかねぇ)これは失礼。嫌な気分にさせてしまいましたか?』
『ううん、そんなことないよ。糸取ってくれてありがと』
学園長『そうですか。では、私は行きますので授業に遅れずに行くんですよ』
『ん』
最後に優しく頭を一撫ですると、一度振り返りクルーウェルに意味深な笑みを向けると、コツコツと靴を鳴らして去っていった
『先生?凄く怖い顔してる』
クルーウェル『!..悪い。気にするな』
『.. クロさんにヤキモチ焼いたの?』
クルーウェル『!!』
図星を当てられ口を閉ざすと、小走りで駆け寄ってきたレイラにそっと手を握られた
『ヤキモチ焼く先生可愛い。でも大丈夫。私は、先生が好き』
クルーウェル『..分かってる。(完全にハメられた..学園長は恐らく俺とコイツの関係に気づいてる)』