第83章 *閑話カームデイ12 〜クルーウェル・一部クロウリー〜*
『変なの..』
クルーウェル『ふっ、お前には納得できないかもしれないが、これが社会だ』
『じゃあ..先生とはもうギュッてしたり撫でてもらえないんだね』
寂しそうに耳を垂らし少し泣きそうに目を伏せる。少しの沈黙のあと、クルーウェルはゆっくりと唇を近づける
だが、小さな指先がそれを留めて阻止した。怪訝そうに眉をひそめると、困ったように笑いながらつけていた額をそっと離していく
『キスもダメなんでしょ?だから、』
クルーウェル『お前はどうなんだ?』
『..私は..先生に触ってもらえないのは、や。今までと一緒で、撫でて褒めてほしいし抱きしめられたい。その..好きだからキスも、したい』
クルーウェル『それは俺も同じ気持ちだ。自分が教師であることがこんなに重みになるなんてな。俺も、これからもお前にこうして触れていたい』
髪を撫でる手は優しく、それでいて少し震えていた。そんな手に自身の手を重ねると、不安げに揺れるグレーの瞳を真っ直ぐに見つめる
『先生にやな思いしてほしくないから、だから..だから..
ぅぅぅぅ〜〜!!やっぱり、や!先生、ギュッてして!』
クルーウェル『っく、はははっ!分かった分かった』
両手を広げる小さな体を抱きしめて髪にキスすると、ふわりと甘く誘うような匂いが香ってきた。入学して間もない頃に嗅いだ黒兎特有の匂いだった
クルーウェル『おい、その匂いで誘うな。俺に教師を辞めさせるつもりか?』
『違う、けど。さっき先生甘えてくれたから、私も甘えたいの』
クルーウェル『なんてワルい小兎なんだ。これは飼い主として、これからもしっかり躾けてやらないとな』
『ん。これからも、ちゃんとお世話してね』
クルーウェル『勿論だ』
抱きしめ合ったままそっとキスを落とすと、途端にレイラは目を泳がせて焦りだす
『キスは..』
クルーウェル『分かっているが、やめたくない。いいか、この先も..お前が卒業するまでキスは秘密だ。こうやって撫でることは今まで通りに続ける』
『私はいいけど、先生は?』
クルーウェル『俺もそうしたい。本当ならもっとお前を沢山甘やかして、触れて、愛したいが、互いのために今はあくまで仲の良い教師と生徒として振る舞う必要がある。これは最大限の譲歩だ』