第81章 *閑話カームデイ10 〜ポムフィオーレメイン〜*
ポムフィオーレ寮・寮前
ユウ『長い間、お世話になりました』
『お世話になりました』
寮の前で互いに向い合うように並ぶと、ユウたちはペコッと頭を下げた
昨日、オンボロ寮の修繕が終わったとの連絡が来たため、ヴィルたちとの相談の結果、今日ポムフィオーレ寮から退寮する日として、ユウたちは荷物をまとめてポムフィオーレ寮の前に立っていた。まとめた荷物は大きなキャリーケースや大きめのカバンに詰め込まれ、パンパンに膨れ上がってズシッとした重みが肩にかかる
ヴィル『部屋の清掃もちゃんとしてたし、この数週間キチンとこの寮のルールに従ってたみたいね』
ユウ『そりゃあ、あれだけ圧かけられたらそうするしかないでしょうよ』
ルーク『ああ、なんともあっという間の日々だったね。3人と1つ同じ屋根の下で過ごす貴重な経験をありがとう』
エペル『沢山話せたし、一緒に勉強もできて、僕も3人と過ごせて楽しかったよ』
『私も、エペルと過ごせて楽しかった。これからも遊びに行っていい?一緒にお菓子食べたり勉強したい』
エペル『うん。僕も、レイラともっと一緒に..』
グリム『おい!いいから早く新しくなったオンボロ寮を見に行くんだゾ!』
割り込むように声を上げるグリムに、伸ばそうとした手を引っ込める。少し悔しそうにしながらも、仕方なくため息一つはいて"分かったよ"と肩を竦めた
『ルクさんも、一緒にいてくれて嬉しかった。あと...助けようとしてくれて、ありがと』
ルーク『..私は私に出来ることをしようとしたまでさ。だけどあの日は救うことができなかった。だから、これからはこの手に届く範囲でなら、君を必ず守ると誓うよ』
『ん..』
ヴィル『あら、悲しいわね。あたしにはないのかしら?』
『ヴィルさんは、綺麗になることをいっぱい教えてくれた。お洋服もお化粧も、すごく楽しかったし知らないことが知れて嬉しかった。
あと、私を好きになってくれてありがとう。二人きりのとき、優しく触ってくれるのもいっぱいキスしてくれるのも、嬉しい』
後半をコソッと小声で伝えると、満足そうに微笑んでレイラの手をとって上機嫌で足を進め始める
ヴィル『あたしもよ。あんたを好きだと思わせてくれて、あたしを好きになってくれてありがとう』