第81章 *閑話カームデイ10 〜ポムフィオーレメイン〜*
ポムフィオーレ寮・ヴィルの部屋
『それでね、リドルさんのところでケーキ食べて凄く楽しかったの』
ヴィル『そう、良かったわね』
夜、約束通りヴィルの部屋を訪れたレイラは、ハーツラビュルでのパーティーの話をしていた。嬉しそうに語るその横で、優しく微笑みながら耳を傾けていたヴィルは、相槌を打ちながら頭を撫でていた
『あ..いっぱい食べちゃったけど、ちゃんとその分運動するから..だから、怒らないで』
ヴィル『分かってるじゃない。それでブクブクに太ってみなさい、あたしのキツいトレーニングで地獄を見せてやるから』
『ぁぅぅ..が、頑張る』
ヴィル『まあ、あんたは太りにくい体質みたいだし、無理のない範囲で頑張りなさい』
ルーク『そうだね。無理な運動やダイエットは、むしろ体にとても良くないからね』
ヴィル『...ところで、なんでしれっとあんたまで部屋にいるのよ』
呼んだのはレイラだけよ、と邪険にする瞳でレイラを挟んだ反対側に優雅に腰掛けるルークを睨みつける
ルーク『そう怖い顔をしないでおくれ。私も、二人の夜の談笑に付き合わせてほしいと思ってね』
ヴィル『あたしの邪魔をしに来ただけでしょ』
ルーク『ふふふ..まさか』
顔をしかめるヴィルと笑顔のルーク。どちらからも対抗心の火花が散り一触即発の雰囲気をかもしだす
『えっと、二人共喧嘩はだめ。こ、こうしてたら喧嘩しない?』
なんとか宥めようとオロオロしながら、二人の手をそれぞれ握り両者を交互に見つめる
ヴィル『..そうね。そうしていてちょうだい』
ルーク『気を使わせてすまないね。不安にさせたかな?』
『大丈夫』
ヴィル『体の中から別の魔力..トレイ、自分の魔力をレイラのケーキにだけ仕込んだわね。足にはウツボ、指にはライオン、胸にはタコ、かしら?どいつもこいつも自分の魔力(匂い)つけ過ぎなのよ』
顔を近づけると至るところから漂う他者の魔力にヴィルの顔が曇る。まるで自分に対しての牽制ともとれる濃さに苛立ちが募る
『え、どういう、こと?』
ルーク『みんな、君が大好きで独占したいということさ。私達も負けていられないね、ヴィル』
ヴィル『ええ。この喧嘩、買ってやろうじゃないの』