第81章 *閑話カームデイ10 〜ポムフィオーレメイン〜*
ナイトレイブンカレッジ・廊下
『(キラキラ..)』
指輪をはめた左手を翳しながら、太陽の光を受け輝きを増す宝石にうっとりと目を細める
ユウ『ご機嫌だね。僕としては凄く悔しいけど』
『今度お揃いの物買いに行こ?』
ユウ『僕が選んでもいい?』
『ん』
フロイド『あ〜小エビちゃんとゴマちゃんだ♪』
ジェイド『お二人とも、こんにちは』
『フロさん、ジェイさん』
ユウ『こんにちは』
手をヒラヒラ振りながらこちらへ歩いてきた双子に挨拶をすると、当たり前のようにフロイドの長い腕がレイラを包んで抱きしめる
フロイド『相変わらずちっさくて可愛いーね』
『フロさんはおっきくてカッコいいよ』
お世辞ではない純粋な言葉に分かりやすく気分を良くすると、思い出したように"あっ"と声を上げた
フロイド『丁度オレら、二人のこと探してたんだよねぇ』
『なぁに?』
ジェイド『お二人にモストロ・ラウンジへ来てほしいのです。実は、アズールの方から先日の事件のお礼がしたいとのことで、探してお連れするように言われていたのです』
フロイド『スマホ通じねーし、わざわざこうやって歩いて探してたってわけ』
実はカローンによるオンボロ寮襲撃の際、二人のスマホは戦いの衝撃で少しのひび割れと操作の遅延や不具合が時たま起こるようになってしまっていた
ユウ『すみません。なんか、手間取らせたみたいで』
ジェイド『いいえ。これも全てイデアさんの責任なので、後々彼から手間賃をいただきます』
フロイド『てことだから、今からオレらとモストロ・ラウンジに行こっか』
『今から?』
ユウ『急すぎ』
フロイド『あ?オレら学園中探し回ってやったんだから..行くよな?』
ユウ『ハイ。イカセテイタダキマス』
『行く』
フロイド『じゃあ出発〜』
ドスの利いた声と視線に気圧され、二人は獲物を捕らえたギラついた肉食魚に連れられて、オクタヴィネル寮へと向かった
すれ違う生徒たちからは、"高身長のヤクザに連行される哀れな債務者"という絵面に見えたとか