第81章 *閑話カームデイ10 〜ポムフィオーレメイン〜*
『指輪..綺麗..指ぴったりになったの、すごい』
レオナ『その指に合わせて大きさを変える魔法が入ってるからな』
ブレスレットと同じ黒の輪に小さく嵌め込まれたエメラルドがキラリと輝く。それはレイラの愛する目の前の2つの宝石の瞳と同じ色だった
レオナ『VDCが終わった後に届いたから本当はすぐに渡す予定だったんだが、あのカイワレ大根のせいで今になったってわけだ。ブレスレットはまたやるから、今はこれつけてろ』
『こんなにいっぱいもらって..私、何もお返しできてない』
レオナ『俺が渡したいだけだ。気にするな』
『でも..』
レオナ『これから何度も添い寝に呼び出すから、素直に応じて俺の抱きまくらになるってんなら、壊れたブレスレットとこの指輪の代金をチャラにしてやっていいぜ』
『それだけで、いいの?』
レオナ『毎晩俺に激しく抱かれるのとどっちがいい?』
『...添い寝で』
レオナ『(なんだよ今の間は)取引成立だな』
若干の間に期待を膨らませながら、レオナは自分の瞳の色が愛しい存在の指で光ることに優越感と征服感に満たされ、指にそっとキスをすると、レイラの体を抱きしめ大きく欠伸をした
『レオさん』
レオナ『ん?』
『ありがと、大好き』
胸に顔を埋めて甘える姿に襲いかかりそうになりながら理性で押し留めると、抱く力を強め"ああ"と一言囁いて目を閉じた
腕の中から寝息が聞こえ始め、レオナは目をそっと開けて髪に鼻を近づけスンと嗅ぐ。その瞬間、先程までレイラに向けていた優しく甘い瞳が、殺意にも似た鋭く敵を見る目に変わる
レオナ『(髪にも顔にも、どこぞの女王サマの魔力がべったりついてやがる。生意気にもマーキングのつもりか。なあ、ヴィル?上等だ。てめぇがその気なら、俺は容赦しねぇ)』
今頃、余裕の笑みで紅茶を飲んでいるであろう白金の女王への敵意を露わにして、レオナは自分の匂いや魔力が移るように、そっと髪に頬ずりした