第81章 *閑話カームデイ10 〜ポムフィオーレメイン〜*
ポムフィオーレ寮・ヴィルの部屋
二人分の体重が乗りベッドが小さくギシッと音をたてる。向かい合う互いの瞳は少しの緊張と愛情に満ちた甘い色で染まっていた
顎に指を添えて顔を上げさせると、ヴィルはゆっくりと顔を近づけ優しく目の前の唇に触れる
『んっ...』
それはすぐに離れてはまた触れるバードキス。柔らかい感触と唇の熱に溺れてしまいそうになりながら、時折食んだりして甘い時に身を委ねる
『っは..//』
ヴィル『レイラ、そんな可愛い顔しないで』
約束した手前、手を出してしまいそうになるのを抑えながら、滑らかな黒髪を撫で腕の中に引き寄せた
キスや愛の言葉は初めてではない。しかしそれは演技の話で、実際に愛する人とのそれは比べ物にならない程に彼を満たし、興奮させ、愛情が溢れだす幸福に満ちた行為だった
『あったかい..ヴィルさん、好き』
ヴィル『あたしもよ。このまま、ずっとこうしていたい』
トクントクンと規則正しい鼓動を胸に当てた耳から聞きながら、レイラは体から力を抜き完全に身を委ねる。甘えるように擦り寄れば、頭上からクスッと笑い声がしたあと頭が撫でられ、額に優しくキスが落とされる
『んふふ..ヴィルさん、なんかいつもより優しいね』
ヴィル『これでも気持ちを伝えるのに緊張しまくってたのよ?あんたに受け入れてもらってそれが解けたら、なんだかあんたを甘やかしたくて、触れたくて仕方なくなっちゃったの』
『可愛い..』
ヴィル『可愛いのはあんたよ。はぁ..このまま寮生になってもらって毎日愛でていたいわ』
『寮生にはなれないけど、言ってくれたら一緒にいるよ?』
ヴィル『なら、オンボロ寮の修繕工事が終わるまでのこの期間は、夜の少しの時間にあたしの部屋で一緒に過ごして。工事が終わってからは、あんたのタイミングが良い時でいいから、部屋に来て』
『ん、いいよ』
ヴィル『じゃあ、今夜から来て。時間が空いたら連絡するから』
『楽しみ』
撫でられる感触に目を細め気持ちよさそうにしていると、頭に乗っていた手がスルリと頬を滑り、親指が唇をなぞる
ヴィル『...いい?』
『ん』
欲の炎を燃やしながら互いに見つめ合うと、再び甘い空気が部屋を包み、二人はまた静かに唇を合わせた