第81章 *閑話カームデイ10 〜ポムフィオーレメイン〜*
太腿に置かれたままの手を、返答を催促するように撫で続ける。その度にビクッと身を震わせながら、ヴィルの背に腕を回して抱きつく
『んっ..ぁっ..//そ、いうことしてもいい..ユウたちと同じ"好き"なの..っぁ..え、えっちなことしても、いいの..っ//』
その言葉にゾクッとしながら、体を許されたユウたちと同じ領域に立てたことへの嬉しさと、自分だけではない悔しさが入り交じる複雑な思いが膨れ上がる
世間一般では"尻軽""淫乱""ビッチ"だと指を刺されてもおかしくない彼女の他人との関係。しかも本人はその気はない(それすら知らない)という質の悪い気質が余計に悪化させる
芸能人である自分にとって、彼女と関係を結ぶのはスキャンダルどころの騒ぎでは済まないことは目に見えて分かっていた。誰もがそんなやつとの交流はすぐさまやめるべきだと言うはず
しかしヴィルは躊躇っていた。自分にとってマイナスであることは痛いほど分かっているのに、心と体がどうしても目の前の小さな兎を手放したくないと叫んでいた
他の誰にも抱かなかった烈情を初めて感じた相手は、きっともう現れない。そして何よりレイラには相手を誑かして利用しようという悪意が一切ない。あるのは友に寄せる純粋な愛という事実が、いつもは聡明なヴィルの思考を鈍らせる
それが黒兎の力の一端だと知らずに
それでも、暫し考えていたヴィルの心にはある決心が芽生えていた
ヴィル『(それでも、あたしは..)そう..ならもう遠慮なんていらないわよね』
太腿から手を離し両頬を包み込みそっとキスをした。柔らかい感触と唇を離した直後に見えた深紅の瞳が恥ずかしそうに揺らぐ様子に、体の奥から理性を掻き消すような熱が生まれる
『(ヴィルさんの瞳、ギラギラして凄く危ない..でも、綺麗な瞳)あの..え、と..』
ヴィル『レイラ、お茶を飲み終わったらあたしの部屋に来ない?
あんたともう少しキスをしていたい』
『ぅ..//えと..え、えっちなこと、しないなら..』
ヴィル『(今すぐここで襲ってやろうかしら)分かってる。あんたに無体を働くことは、絶対にしないって約束する』
『なら..いい、よ』
その返事にヴィルが嬉しそうに笑ったのを見て、レイラも小さく微笑んだ