第81章 *閑話カームデイ10 〜ポムフィオーレメイン〜*
『私もね、ヴィルさんのこと大好き。強くて優しくてカッコよくて綺麗で、自分を真っ直ぐに貫いてるとこ、お仕事とか綺麗でいることに一生懸命なとこが好き。私、いっぱいヴィルさんに助けてもらって、自信を持ちなさいって言ってもらえて凄く嬉しかった』
頬を染めて少し恥ずかしそうに語る姿に、どうしようもなく抱きしめたい衝動に駆られる
理性をなんとか僅かに残しながら席を立つと、レイラの横まで歩き手を伸ばして頬に触れる
『んっ..こうやって優しく触ってくれるのも好き』
頬に伝わる温もりにうっとりしていると、腰をかがめたヴィルがそっと顔を近づける。至近距離の端正な顔にトクンと鼓動が高鳴り、恥ずかしさで視線をそらしてしまう
ヴィル『ねぇ..こっちを見て』
『っ..//』
ヴィル『キスをしたいんだけど..だめ?嫌なら言ってちょうだい、絶対に無理強いはしないから』
甘い低音と熱に揺れる瞳に射抜かれ、速まる鼓動のままおずおずと視線を合わせると、口の端を上げた綺麗な笑みが優しく唇を奪った
『んっ..//』
ヴィル『嫌って言わないのね。ならあたし、勘違い..自惚れてもいいのかしら?』
『か、んちがいじゃない..よ?私、ヴィルさんのことが好き。こうやって、キ、キスされても、嬉しいって思ってる』
ヴィル『でもあんた、ユウや他のジャガイモたちともしてるでしょ?』
『?ん..だって、好きな人同士なら、キスしてもいいでしょ?』
ヴィル『(それがあたしの、世間の"好き"とは違うのよ)』
自分たちの感覚とズレていることには薄々感じていたが、改めてそのズレを目の当たりにして、自分の想いとは違うことに落胆した
『でもね、最近"好き"がその人で違う気がするの。ユウたちとクラスの人、ママたちとで好きの感じが違う』
ヴィル『..あんたにとって、あたしはどこの好きに当てはまるの?キスは許して、その先は許す?』
『その、先?...わっ!』
首を傾げて問うと突然抱きしめられ、しなやかな指がスルリと背中から腰へ、そして太腿の上を滑っていく
『ひゃっ..ぁ..//』
快感に身をよじると、耳元に寄せられた唇が誘うように言葉を紡ぐ
ヴィル『分かるでしょ。こういうことをしても良いっていう"好き"なの?ユウたちには触らせたの?』