第81章 *閑話カームデイ10 〜ポムフィオーレメイン〜*
〔No side〕
大きく深呼吸して気持ちを落ち着けると、ヴィルは軽く身なりを整え真剣な眼差しで口を開いた
ヴィル『レイラ、聞いてほしいことがあるの』
その声があまりにも真剣だったため、レイラは手を膝の上に置いて背筋を伸ばして小さく頷いて、彼の言葉の続きを待った
ヴィル『..あたしは..あたしは..』
『ん..』
ヴィル『(口が上手く動かないわ。たった二文字を言うだけなのにこんなにも緊張するなんて。演劇では飽きるほど言っていたのに..でもそれはフィクションの世界での言葉で、これは紛れもない現実(リアル)』
『(ヴィルさん凄く怖い顔してる。怒ってるの、かな?)』
互いに謎の沈黙に耐えながら時間が流れていくのを感じていた。そろそろ行動を移さねばとヴィルは決心し、顔を上げてもう一度仕切り直す
ヴィル『レイラ』
『なぁに?』
ヴィル『あたしね...』
『ん』
ヴィル『...好きよ』
『え..』
ヴィル『レイラ、あんたのことが好きなの。優しくて可愛いくて、常に誰かの役に立とうと一生懸命なところも。時々無理をしがちなところも、メンタルがちょっと弱くて臆病すぎるところも好きだわ。
あんたが他のやつと笑い合ってると嫉妬するし、笑顔を向けてくれるとどうしようもなく嬉しい。こんな感情初めてなの..
あたしは、あんたに恋をしてる』
『!!ぁ..え、と..』
突然の告白に頭が追いつかずしどろもどろになっていると、そんな様子を見たヴィルは不安そうな顔でギュッと拳を握った
ヴィル『ごめんなさい、急に色々話しちゃったわね。返事は急がない。なんだったら返さなくてもいいわ。ただ、あたしの気持ちを知ってほしかっただけだから』
『..ヴィルさん。私の気持ちも、伝えていい?』
ヴィル『ええ』
あくまで表向きは冷静に頷いたが、内心その返答に酷く緊張していた。もし、あまり良くない返事だった場合に、自分の心が耐えられる自信がなかったからだ
あまりの緊張に唇をキュッと引き結ぶと、その緊張を読み取ったのか、レイラはまるで大丈夫だと言うような優しい笑みを浮かべた