第81章 *閑話カームデイ10 〜ポムフィオーレメイン〜*
その日の夜
グリム『これホントにつけなきゃだめか?』
ユウ『ここを追い出されたくないならね』
ぐぬぬ、と唸るグリムの前には肉球用クリーム、ブラッシング用の櫛、洗い流さないトリートメントといったケア用品がずらりと並んでいた
ユウ『そのうち慣れるよ。さ、つけるから背中見せて』
グリム『ゔ〜...』
『ブラシは私がするね』
ユウ『お願い』
慣れないトリートメントに悶えるグリムの声を聞きながら、ふと窓を見ると真っ暗な夜空には星が瞬き、満月が顔を出していた
『(ホントに帰ってこれた。凄く疲れたけど、あの時ルクさんを追いかけてよかった。ここに残ってたら、多分壊れちゃってたかもしれない)』
小さく笑いながら青白く光る月を眺めていると、その色が突然一瞬にして血の池に飛び込んだかのように真っ赤に染まった
『!!??』
ユウ『レイラ、どうしたの?』
『あ、あの..月、が..あれ..?』
指を指しながら再び月へと視線を戻すと、そこには変わる前の青白い月がぽっかりと浮かんでいた
『さっき赤くなったのに..ごめん、なんでもない』
ユウ『そう?なら、いいんだけど』
グリム『おめー、疲れがとれてねーから変なもの見えたって勘違いしたんだろ。さっさと寝ちまうんだゾ』
『ん..そうだね。今日はもう、早く寝る』
ユウ『明日は朝っぱらからクルーウェル先生と面談だからね..はぁ、しんど』
グリム『!!オ、オレ様、明日は他に用事ができたから、クルーウェルのとこには二人で行ってくるんだゾ』
ユウ『逃げようとしてもだーめ。グリムもちゃんと先生に叱られようね』
グリム『嫌なんだゾ〜〜〜!!!』
『(さっきの、勘違いじゃないと思ったんだけど..
っ!!!)』
謎の現象に首を傾げていると、突然ゾワッと寒気に似た感覚に襲われる
部屋を見渡すと、その寒気がタンスの奥から放つ禍々しい気配であることが分かった。そして、レイラにはその気配の正体が何なのかが分かっていた
『...』
風呂に入る寸前にポケットからとれたブロットの石たちが、その輝きを放ちながらひっそりと仕舞われていた