第80章 *終曲イグニハイド*
やがてゲーム大会が終了し、そろそろお開きとなりお菓子の空袋やコップなどの片付けが行われる中
『あ、私も片付けする』
ユウ『じゃあ、そこのお皿持ってきてくれる?ゆっくりでいいからね』
『ん』
イデア『あ、あの..』
か細い声に振り向くと、落ち着かない様子で少し大きめの段ボールを差し出される。顔を見上げると視線を彷徨わせながら、それを受け取るのを静かに待っていた
『なに、これ』
イデア『あ、えっと..頼まれてたもの、デス。お納めくだされ..』
『..中見ていい?』
イデア『どぞ..』
箱を受け取り、既に開封されている蓋を開いて中を見ると、頼んでいた筆記用具や小物が梱包されていた。望んだ通りの物が全て入っていることを確認しそっと蓋を閉じる
イデア『な、なにか不備とかあった?君に言われたものは全部揃えたはずなんだけど』
こちらを無言で見つめる赤い瞳に焦りながら問う。何か買い忘れや間違っていたのではないかとビクビクしていると、レイラはフワッと小さく微笑んだ
『間違ってない。ありがと..お月様』
イデア『〜〜〜っ//』
花のような笑みに一瞬時が止まり胸が大きく高鳴る。頬に熱が集まるのを感じて、見られないようにバッと勢いよく顔をそらした
イデア『お、推しに貢ぐのはオタクの使命であり、君には悪いことしたと思ってるから、べ、別にお礼を言われることではないというか..』
ブツブツと早口で紡がれる照れ隠しの言葉に頭に?を浮かべながらも、隠せていない頬の赤みに気分を良くすると、箱をソファーに置いて皿を集め始める
イデア『あの、さ。もう一つのお願いだけど、どうやって君が購買に行く時にお金渡せばいい?』
『後で連絡先教える。お金を渡すんじゃなくて、一緒に購買に来て』
イデア『へっ!?いやっ、拙者は出来れば表には出たくなくて、現金だけ渡すので後はそっちで勝手に買っていただければ..』
『来てくれないの?』
イデア『ゔっ..い、いくらあざとい顔してもダメ』
『ぅぅ..』
うるっと瞳を潤ませると、皿を抱えてその場から足早に立ち去りキッチンへと逃げていった
イデア『あっ..』
ユウ『ど、どうしたの!?』
『お月様に意地悪された』
ユウ『ぶっ飛ばしてくる』