第80章 *終曲イグニハイド*
ジャミル『少しは楽になったか?』
『ん、気持ちよかった。ありがと』
ジャミル『さて、俺は戻るがお前はどうする?ユウたちには言っておくから、もう暫くここにいてもいいぞ』
体を離して去ろうとすると服の端を掴まれ、行くなと言わんばかりに腕に縋り付く
『..ううん、私も戻る。一人の時間はもういい』
ジャミル『寂しがりだな。なら一緒に戻ろう、ゲーム画面を見つめるのは程々にしてソファーでゆっくりしていればいい』
『そうする。あと、お月様に私が頼んだもの貰わないと』
ジャミル『そういえば何をねだったんだ?』
『いっぱい。お気に入りのメーカーの文房具とかキーホルダーとか、とにかくあの日にダメになっちゃったもの全部。あと、暫くの間私が購買で何か買うときに奢ってもらう』
ジャミル『ふ、中々に先輩を使い潰すな。あまり虐めてやるなよ』
『..あの人が悪いんだもん』
拗ねたように腕にグリグリと額を擦り付ける。それを愛おしそうに撫でて見つめ、静かに指で顎を挙げさせてキョトンとしているレイラの唇を優しく塞いだ
『んぅ..』
ジャミル『そう怒るな。暗い顔ばかりしているとユウ達が心配するぞ』
『ジャミさんは?』
ジャミル『勿論、俺もだ』
『んふふ、じゃあ怒るのやめる』
戻ろ、と手を引いて談話室へと歩きだすと、嬉しそうに笑う声が背中から聞こえ手が握り返される
オンボロ寮・談話室
『...』
エース『レイラ、体調悪いの少しは治った?』
『少しは』
エース『ならいいけどさ、あんま無理すんなよ?部屋に戻って寝ててもいいんだぜ?』
ソファーに座る自身の膝に頭を置いて寝転がるレイラを心配そうに見下ろしながら言うと、嫌だと言ってエースの腹に顔を埋める
エース『オレはそうやって甘えてきてくれんのすげえ嬉しいけどさ、ホントにヤバかったら言えよ?分かった?』
『ん』
ヴィル『あら、気分でも悪いの?』
ゲームを終えたヴィルがぐったりしているレイラに気づき、目の前でしゃがみ顔を覗き込む
『ちょっとだけ。でもここにいたいの』
ヴィル『寂しいから?』
『ん』
ヴィル『ならここにいなさい。心配しなくてもあんたは一人じゃないわよ』