第80章 *終曲イグニハイド*
高らかに付けられた新しいオルトの愛称に、慣れない言葉にオルトは首を傾げる
オルト『ムシュー・奇跡?それ、僕のこと?』
ルーク『そうとも。君が心を持つに至ったのは、きっと偶然なんかじゃない。シュラウド兄弟がお互いを想い合う気持ちが起こした奇跡さ!私はこの美しい奇跡を目の当たりにできたことを、光栄に思う』
学園長『我が校..特にイグニハイドには、魔導工学分野での活躍を目指す生徒が沢山います。オルトくんの存在は、彼らにとって素晴らしい刺激となるでしょう』
それに、と今回の事件によってイデアの家から修繕と支援金を手に入れ、代わりにオルトの編入を承諾したことについてブツブツと呟く
近くにいて聞き取ったジャミルとヴィルは呆れた顔で、だろうと思ったと重いため息をついた
学園長『おっほん!オルトくんはヒューマノイドという特性上、受けられる試験や授業に制限はありますが、今日からはユウくんたちと同じ、ナイトレイブンカレッジの1年生です。仲良くするように』
エース『異世界人と初の女子生徒と魔獣の次は、ヒューマノイドが同級生?まじ?』
デュース『ははっ!世界の魔法学校の中でも、そんな経験できるのは僕たちだけだろうな』
エペル『こったごとあるんだな..たんげすげえ』
グリム『どんなやつが来ようと関係ねぇ!1年生主席の座はオレ様のものなんだゾ!』
ユウ『これからよろしく。ほら、レイラも挨拶しようね』
隣で寄りかかっていたレイラに呼びかけると、ゆっくりとオルトとイデアを向き、じっと見つめる
オルト『?』
『...よろしく』
ボソリとつぶやき、すぐに視線をそらしてユウの肩に顔を埋めてグリグリと擦り寄る。いつもより元気がなく少し不機嫌なオーラを放ち甘える姿に、ユウは不思議そうにしながらもその理由がなんとなく分かり、髪を撫でて優しくあやす
ユウ『ごめんね。今はちょっとご機嫌ななめみたい』
オルト『..もしかして、あのときの言葉を気にしてる?ごめんなさい、敵対してたとはいえあんな事を..』
ユウ『ああ、ごめん。今はその話題なしでいいかな?もっとご機嫌悪くなっちゃうし』
オルト『そっか..じゃあまた今度改めて謝罪に行くね。とにかく、兄さんともども仲良くしてね』