第80章 *終曲イグニハイド*
オンボロ寮・玄関
エース『よーっす!オンボロ寮改装終了、おめでと〜』
デュース『わっ!外も綺麗になってたが、中も凄いな』
エース『ははっ、入学したての頃、歩くたびに天井から埃が落ちてきたのが嘘みてぇ!』
オンボロ寮が直ったと聞きつけて訪れたエースたちは、初めて中の様相を見て、あまりの様変わりに興味津々と辺りを見渡した
『エース、デュース』
エース『っと!飛びついてくるの分かってたぜ、この甘えん坊』
デュース『うおっ!レイラ、抱きついてくれるのは嬉しいが、これが崩れるかもしれないから気をつけてくれ』
飛びついてきた体を受け止めながら嬉しそうに撫でるエースと、片手に持っていたものを揺らさないようにしながら、どちらもその小さな兎を大事に抱きしめた
『スンスン..美味しそうな匂い。タルト?』
デュース『よく分かったな。ユウ、これクローバー先輩から改築祝いのタルト』
エース『あとこれはオレたちから、購買部で買ってきた新作のスナック菓子とジュース』
ユウ『こんなに..わざわざありが、』
グリム『にゃはー!やったー!』
ユウ『あ、とられた』
二人からお土産を受け取ろうと手を伸ばすと、かすめ取るようにグリムが飛びついてタルトの入った箱を奪い取り、その場で開け始めた
デュース『こら、行儀が悪いぞ。玄関で開けるなよ』
グリム『うわー!でっけぇイチゴタルトなんだゾ!早く食べよう!』
開けた瞬間、中から香る甘酸っぱいイチゴの香りにそそられ、大きく開封するととても美味しそうなタルトが顔を出した
学園長『おや、いいですねぇ。私もご相伴にあずかっても?』
『『『うわあっ!!??』』』
突然、ニュッと背後から現れたクロウリーにエースたちは肩を震わせて飛び上がって振り返る。そこには何事もなかったかのようないつもの笑みで目の前のタルトを美味しそうに見つめていた
デュース『学園長!戻ってきてたんですか?』
エース『っていうか、マジでいきなり現れるのやめてくれない?』
学園長『失礼ですね。勝手に驚いているのは君たちでしょ!』
グリム『で、何の用なんだゾ』
学園長『先日のS.T.Y.Xの件が一段落つきましてね。各寮長に報告して回っていたんです』