第80章 *終曲イグニハイド*
自分たちの部屋
扉を開けると、配置は前と変わらないものの、その装飾やデザインはとても上質で豪華に変わっていて、それはまるでポムフィオーレ寮の部屋のものとよく似た雰囲気を放っていた
ユウ『うわっ、すごいな』
グリム『オワーッ!なんじゃこりゃ!ポムフィオーレみたいなんだゾ!』
『一番キラキラしてるかも』
ヴィル『どう?気に入った?』
『ん!』
ユウ『え、ちなみにいくらかかったのかお聞きしても?』
ヴィル『金額を聞いたら、あんたたち飛び上がるわ..なんて、冗談よ、冗談。実は水回りの修繕と談話室のリフォームに予想以上に予算を食われて、あんたたちの部屋までは手が回らなかったの』
"だから、ほら"と机の上のあるものに手を伸ばしカチッとスイッチを切ると、先程までの豪華な装飾は消えて普通の部屋のデザインへと切り替わった
『わわ..お部屋変わった』
グリム『ふなっ!?見慣れたオレ様たちの部屋に戻った!?どういう仕組みなんだゾ?』
ユウ『それで変えてたんですか?』
視線の先にはヴィルの手に持つあるものに注がれていた。それは、地球儀とプラネタリウムを合わせたような形状の黄土色の機械で、ヴィルは頷くと機械を半回転させて後ろに飛び出たボタンを見せた
ヴィル『さっきの部屋は、この魔法の投影機を使って作り出した幻。これを使えば、質素な部屋をリッチに見せることができる』
そう言ってボタンを押すと、再び部屋は幻によって豪華な装いへと変化させる
ヴィル『CGエフェクトやプロジェクションマッピングなんかが今ほど発展していなかった時代は..ショー・ビズの世界ではこの魔法の投影機が欠かせなかったそうよ』
『じゃあこれ、昔のもの?』
ヴィル『ええ。中古品を知人に安く譲ってもらったの。おもちゃみたいなものだけど、気分をアゲるには十分でしょう?』
ユウ『すごいです。ありがとうございます!』
『こんなにみんなから貰っていいのかな?』
ビーッ!
寮のチャイムが鳴り響き、全員の視線が玄関へと注がれる
グリム『ん?誰か来たみたいなんだゾ』
『誰?』
ユウ『行ってみようか』