第79章 *終焉ゲーム*
普段から少し高圧的で上から物を言いがちなマレウスだが、レイラを前にするときだけ、まるで何かを乞うような柔らかさをまとう
そんな変化に隣で少し驚いた様子で聞いていたリリアは、身内の良い変化に口元を緩ませた
そんなマレウスの言葉を無下にする訳にもいかず、レイラはゆっくりとユウの背から離れると、顔をあげてマレウスの元へ歩み寄る
『...』
その目元はパンパンとはいかなくとも赤く腫れていて、涙を流した跡が頬に線を作っていた
しかしその身にヴィルのような異変が起きていないことを確認できると、マレウスからようやく安堵が訪れ肩の力がふっと抜けた
マレウス『ああ、お前も何もなかったか。一安心したぞ』
『...ギュ』
両手を広げてねだるとマレウスの笑みは深みを増し、目の前の愛らしい兎を自身の長い腕の中にそっと閉じ込めた
マレウス『よく無事で戻った。お前たちの帰還を心から祝福しよう』
ユウ『はいはい、ありがとう』
『ツノ太郎..会いたかった』
マレウス『..僕もだ』
リリア『(これはこれは..お主も青春しておるの〜マレウスよ)』
『『ユウ〜〜!!レイラ〜〜!!グリム〜〜!!』』
校舎の方角から懐かしく聞き慣れた声が聞こえ、振り向くと2つの人影が手を振りながらこちらへと駆けてくるのが見えてくる
段々とはっきり見えてきたその姿に、グリムの瞳がパアッと輝く
グリム『あっ、エース!デュース!!』
『っ!!二人共、起きてた..良かった』
マレウス『会いに行くといい。あいつらも、お前たちの無事をひどく心配していたと聞いた』
マレウスは少し名残惜しそうに体を離すと、リリアのいる後方へと去っていった
ユウ『行こう、2人とも』
『ん』
グリム『おう!』
久しぶりの親友たちとの再会に心弾ませ駆けてくる二人に近づくと、エースたちは3人の顔を見ながら走ってきた息を整えるために軽く息を吐いた
ユウ『ただいま!』
『2人とも、怪我は大丈夫?』
エース『な〜〜〜にが"ただいま"だ!!!こんのバカタレが!!』