第79章 *終焉ゲーム*
マレウスから与えられた魔力が全て収まると、ヴィルの体は光に包まれていく。やがてその光が消えていくと、そこには元の姿を取り戻したヴィルが立っていた
髪は艷やかな白金、滑らかでハリのある美白の肌、爪の先まで整えられた指先、高いヒールにも負けないしなやかな筋肉を備えた体
全てが彼の"普通"であり今もっとも彼の欲する姿だった
ヴィル『え..あっ?あ、あたし..嘘っ!!元の姿に戻ってる!?』
足に力が入ることや、明らかに肌の質感が違うこと。そしてそっと手で自身の髪や頬に触れたことでそれを実感する
ルーク『ああ、いつもの..18歳の姿だ!!』
エペル『やりましたね、ヴィルサン!』
ヴィル『きゃーーー!!!やったぁ〜〜〜!!!!』
実感が湧いた瞬間、体の奥底から一気に湧き上がる喜びが天にも登るほどの勢いで噴出した。両手を空へ掲げ歓喜の声をあげながら、ヴィルは弾けんばかりの満面の笑顔で後ろへ倒れ込んだ
『『ヴィル!?/ヴィルサン!?』』
ルーク『突然仰向けに倒れるなんて..やはりまだどこか具合が!?』
ヴィル『違うの。安心したら腰が抜けたみたいで..あはっ、あははは!!』
エペル『わいは、なんだんずよ!びっくりさせねんでください!』
『『『ぷっ、あはははは!!!』』』
3人は安心と可笑しさに笑いがこみ上げ、年相応の表情で笑いあった
ユウ『一件落着、かな。また助けてくれてありがとう、ツノ太郎』
レイラの手を取りながら彼の元へと行くと、こちらの姿に気づいたのか、ふっと笑みを深めて体を向ける
マレウス『戻ったか、ユウ..うん。お前はどこも枯れていないようだな』
ユウ『なんとかね』
マレウス『それで、レイラはなぜお前の背に隠れているんだ?』
ユウ『あ〜、さっきまで帰ってこれたことに嬉しくて泣いてたから、真っ赤に目元腫らした顔を見られたくないんだって』
マレウス『そうか。だが、ちゃんと無事を確認したい。レイラ、例えどんなに顔を腫らしていても構わない。決して蔑むようなことは言わないと約束しよう。
だから、顔を上げて無事であることを示してくれ。僕を安心させてほしい』