第79章 *終焉ゲーム*
その時何かの箍が外れた。ヴィルは二人の間にある肘置きを押し上げると、レイラの膝の上に倒れ込み、腰にしがみついて腹に顔を埋めながら泣き叫んだ
『よしよし。いっぱい泣いていいよ』
白髪に染まった髪を梳くように撫でる。その表情は慈愛に満ちて、窓から差し込む朝日のように優しいものだった
『誰か毛布かブランケット一枚持ってきて』
エペル『あ、僕が持ってくるよ』
機内から備え付けのブランケットを持ってくると、それを受け取りふわりとヴィルの頭から腰までを覆うようにかけた
『こうしたほうが少しは落ち着くでしょ』
エペル『優しいんだね』
『こんなに泣いてるヴィルさん、ほっとけないから』
レイラの献身な慰めを受けながらも、ヴィルの嘆きは止むことはなく機内には彼の泣き声が響いたまま、輸送機はナイトレイブンカレッジへと進んでいった
ナイトレイブンカレッジ・運動場
3時間後、輸送機はナイトレイブンカレッジの運動場の真ん中に無事たどり着いた。プシューとドアが開かれると、中からげっそりとした様子でぞろぞろと全員が地上に降り立った
レオナ『あ"〜〜..ようやく学園についた。狭っ苦しい機内で3時間もヒステリックな泣き声を聞かされて、鼓膜がどうにかなっちまう寸前だったぜ』
ジャミル『流石は第一線で活躍するタレント..その肺活量と声量に、我々一般人とのレベルの違いを感じました』
グリム『うう、耳の中でヴィルの泣き声がわんわん鳴り響いてるんだゾ』
アズール『一晩にしてああも変わり果てた姿になってしまったんです。ショックを受けるのも当然ですが..
それにしても、離れていた僕らでさえもこんなに耳がおかしくなりそうだというのに』
『ヴィルさん、足元気をつけて』
ヴィル『うぅ〜..』
ジャミル『あいつが一番近くであの声を聞いてケロッとしてるのがスゴイな』
レオナ『ただでさえも耳が一番良いくせに、無理しやがってあのバカが』
リドル『とにかく、急いで学園に駐在している魔法医術士にヴィル先輩を診てもらおう』
ルーク『ヴィル、歩けるかい?』
ヴィル『と、年寄り扱いは、やめて、ちょうだい。ヒック..ズズっ』
エペル『意地張ってないで、僕達の肩に掴まってください』