第79章 *終焉ゲーム*
両手で目を覆って項垂れ、肩を震わせて泣くその姿は、先程まで気丈に振る舞っていた彼の姿とは全くの別物だった
ヴィル『これじゃあ少年どころか青年役にもキャスティングされない。ダッドみたいなナイスミドル役だって演じてみたかった。なのに..なのに..
あんまりよ〜〜〜!!!!』
機内中に響く大声は反響して増大する。あまりの声量に人より耳の良いグリムとレオナは頭に強く響き思わず耳を塞いだ
グリム『み、耳がキーンとするんだゾ〜』
レオナ『おい。さっきはドヤ顔で"あたしが世界一美しい"みたいなこと言ってなかったか?』
ヴィル『事態を収めるために無理してたに決まってるでしょ!?』
キッと睨むと再び大声で泣き始める。今まで堰き止めていたものが一気に溢れ出したように彼の涙は止まることはなかった
ルーク『おお、愛しの毒の君。君の涙で胸が張り裂けそうだ。もし万が一元に戻れなくても、君は世界一美しいよ』
ヴィル『知ってるわ。でも、今はそういう話じゃないの!ううっ..!』
エペル『う、運転手さん!とにかく学園さぶっ飛ばしてけ!』
ヴィル『うわぁ〜〜〜ん!!!』
ユウ『(かける言葉もない..あのヴィル先輩が小さい子みたいにギャン泣き)』
『ヴィルさん..』
余りの泣き崩れにいても経ってもいられなくなったのか、通路を挟んだ席から立ち上がると、ヴィルの隣りに座るルークの肩をトントンと突いた
『狩人さん、そこ変わってもいい?』
ルーク『ああ。今のヴィルには私よりもむしろ君のほうが良いかもしれないね』
頷くと席を交代し、レイラはヴィルの隣に座ると、シワだらけの手に自分の手をそっと重ねた
ヴィル『うぅ〜..なによぉ..』
『ううん。ヴィルさんはやっぱり綺麗だなって』
ヴィル『知ってるってば..だからなんなのよぉ』
『私はヴィルさんのこと好きだよ。言ったでしょ?心が変わらないなら、どんな姿のヴィルさんも大好き』
ただそれだけ、と優しく包むような笑みで彼の頬に手を添えると、そっと額をコツンと合わせた
『大丈夫だよ』
ヴィル『うぅっ..うぅぅぅぅ〜〜〜!!うわぁぁぁああ〜〜!!!』