第79章 *終焉ゲーム*
ルーク『グリムくんはもう大丈夫だろう。後はヴィルを元に戻す方法だけれど..』
今すぐここで治療できないかと横目でイデアを見るが、その首は気まずそうに横に振られた
イデア『シ、システムがほぼ壊滅状態で、ここじゃヴィル氏たちの治療を満足に行えない。賢者の島は、世界的にも見ても魔法医療の設備が充実してる。ヴィル氏たちのカルテも残ってるはずだから..一旦みんなを学園まで輸送しよう』
輸送機が到着したという連絡を受け、搭乗口までの移動用のチャリオットがタルタロスに降りてきた
イデア『あ、じ..じゃあ、みんなこれに乗って..クダサイ』
ヴィル『..やっと、帰れるのね』
ルーク『ああ。みんなで一緒に学園に戻ろう』
エペル『そうですね。早く行きましょう!』
レオナ『おい、まさかまたエコノミークラス以下の輸送機に詰め込むつもりじゃないだろうな』
ジャミル『もう貨物機でもなんでもいい..さっさと寮に戻って、自分のベッドで眠りたい』
アズール『同感です。これだけ消耗させられたのに、1マドルにもならないなんて、悪夢のような一夜でした』
リドル『でも、悪い夢はもう終わった。さあ、3人もチャリオットへ』
各々思うことを語りながらチャリオットへと乗り込んでいく。リドルに促され、最後に残ったユウたちも搭乗するために足を進める
しかし突然、乗り込む直前でピタっとユウは足を止めた
『ユウ..?乗らないの?』
ユウ『先乗ってて。グリムをお願いしてもいい?』
『?ん..』
首を傾げながらグリムの手を引いてチャリオットに乗り込む。それを見届けると、ユウは踵を返しイデアの元へと足早に近づいていった
エペル『ユウ、何して..あっ、まさか!』
イデア『へ、な..なに!?』
無表情で近付いてくるユウに訳が分からずオロオロしていると、ユウはあっという間にイデアの目の前まで来た
レオナ『あいつ、何してんだ?』
ジャミル『さあ..?』
ヴィル『ああ、忘れてたわ。イデア、歯を食いしばりなさい』
イデア『は?な、なぜ..ひっ!』
ガシッと肩を掴まれ視線を戻すと、瞳孔が開かれたユウが真っ直ぐに見上げていた。身長はイデアのほうが高いはずなのに、まるで見下されているかのような畏怖が彼を包む